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クソみたいな夢を見た。
当然、お嬢様に解雇されるとかそういうんでない。もっと酷いもの。
まともに仕事が出来なさそうだ。いや、普段まともに従者の仕事をしているかと聞かれると、まぁそうではないのだが。
頭がクラクラする。夢ごときにここまで悩むだなんて、小学生ぶりだ。
暗い、暗い、とにかく暗い部屋で起きたあの時のこと。ただでさえ不安だったのに、起きた先でも暗闇しかなかったこと。全部全部、昔のことだ。
昔かと言われるとそうでもないか?数年前だから昔のことだろう、多分。
ぼーっとしながら歩いていたらゴミ箱を蹴り倒したし、ちょくちょく体の左側が壁にドカドカぶつかって痛い。どうしようもなく無能だった過去の事を思い出して嫌な気持ちにもなって来た。どうしてこんな仕事をしているのだろう。
左側をぶつけるのはもう飽き飽きだ、そんな気持ちで歩いていたら今度は体が右側に傾いていたのか、右側の体がゴンゴンとぶつかって痛い。体どころか頭までぶつかっている。あぁ、これが自分が無能であるという証明であり、今もまだ家族をイラつかせていたあの時となんら変わっていないことを自覚させられる。
ロリータ様にお勉強とか、いっぱい教えてもらったし、いっぱい覚えたし、罪悪感も、虚無感も、全部解消してもらったはずなのに。いまだに心の奥底には残っているんだろう。迷惑をかけている気がする。よくよく考えてみれば、散々敬語を学ぶようにと言われているのにそれを放置している自分がおかしいのではないか?
なんともまぁ酷いことに、全く目の前を見ていなかったらしい。相変わらずだ。
盛大にワルキューレにぶつかってしまったけど、体が止まってはくれない。なんか言ってる気がするけど、言ってる気がするという事しか分からなかった。さっきから音が聞こえないし、頭の中は希死念慮でいっぱいなのだ。どうにかしている。後でお嬢様に慰めてもらおう、だなんて、甘えているなぁ。
「……レメゲトン!!」
「うへぇっ!!??!?」
大きな声で叫ばれた。多分、ワルキューレだと思うんだけど……。
「さっきから何度も呼んでいるだろうに、どうして返事をしないんだ?そもそも、人にぶつかったのだから謝罪くらいはした方が良いんじゃないか?お前もロリータも色々とおかしいぞ…で、レメゲトン、何か言う事は?」
何か言われている、という事にしたい。大きな声で呼んでくれたおかげで意識がはっきりしてきたんだろう、全部よく聞こえている。じゃあもうしらばっくれるしかないだろう、俺は反省なんてするつもりないから…。
「……ぁ、はは、おれ、ゴエティアですよ…なんて」
「は?急に何を言うかと思ったら、本名を暴露されても困るんだが…はぁ、もういいよ、ロリータ!!!お前の従者がフラフラしてんぞ!酒でも飲ませたのか!!」
あぁ~~、違う…そんな事されてない…でも、夢のせいで~なんて言ったらまた怒られそうだからやめておく。俺だって怒られたいわけじゃないし…怒られんの苦手だし……高圧的な人苦手だし……。
ゴエティア・レメゲトン。俺の本名だけど、あんまり人にバラすものじゃないんだよね……なんで言ったんだろう、変なの。まだ夢のせいで頭がおかしくなってるのかも!さっき考えてたことも分からなくなっちゃった。
まぁ、普通に、悪夢だからね…。
「ワルキューレ、私の従者が勝手にお酒飲むわけないじゃん、ばかにしないで!」
「あー、そうかい…じゃあ俺は帰る」
「待ってよ!もうっ!レメゲトン、お茶用意して!」
お嬢様から指示を貰ってしまった。無理やり体を回して、台所に向かう…途中に、何回も体をぶつけたし、なんなら転んだし、最終的には帰ってくるときにもすっ転んでカーペットをお茶まみれにしたから、普通に心配されてしまった。
珍しい訳じゃないけど、ロリータ様の従者俺しかいないし、基本は休ませてくれないというか、休ませると色々と大変というか…。
だから、そんな事を言われることはめったにないのに、今回ばかりは普通に「休んだら?ベットは私がなんとかしとくから~」と言ってくれた。優しい人だとは思うけど、俺、もう今日は寝たくないなぁ。