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西川side
合宿6日目の夕方。頼んできた全員との自主練を終わらせ、私は体育館に入る。
(ノート置きっぱだったような・・・)
木葉「お、ゆりちゃ〜ん。お疲れ。」
『! 木葉さん!お疲れ様です!』
すると向かい側には木葉さん。とくだん仲がいいという訳では無いが、暇な時ちょこっと話したりする仲だ。
私はノートを手に取り木葉さんの隣に座る。
木葉「ま〜た自主練付き合ってたの?」
『はい!日向と影山と、菅原さんと月島くんと山口くんと木兎さんと・・・』
木葉「あ〜あ〜ストップ!笑」
木葉「よくそんなに練習できるねぇ」
『楽しいので!』
(木葉さんはチャラ男って感じだけど、)
(案外優しくて話しやすいんだよなー!)
木葉さんはノートをとっている私を、数秒黙って見てから口を開く。
木葉「てかどっからきてるの?そんな体力。」
『え?体力ですか?』
木葉「ゆりちゃん細いし、なんであんな体力バケモンと連戦できるのよ。」
『あ〜・・・そうですね・・・』
私はペンを顎に当てて考えてから口を開く。
『・・・走ってるからかもです!』
木葉「へぇ〜・・・!どんくらいの頻度で?」
『週5です!』 「え?」 『ん?』
木葉「ちょ、え??週5?ゆりちゃんが?」
戸惑う木葉さん。レアである。
(な、何か変なこと言っただろうか、)
『はい!本当は週7がいいんですけど、まだ不甲斐なくて週5しか・・・』
木葉「いやいや全然すごいわー・・・!」
木葉「まじびっくり。でもゆりちゃんいつ走ってるの?今みたいに合宿中とか。」
『早朝に走ってます!5時から6時くらい!』
『明日も走ってきます!』
木葉「へぇー・・・すごいねぇー・・・」
『・・・・・・』 木葉「・・・・・・」
数秒の沈黙。木葉さんといるとなぜだか時間がゆっくりに感じて、沈黙も気まずくない。
(・・・あ!そうだ!)
私は名案が思いつき木葉さんを見る。
『・・・一緒に走りますか?明日!』
木葉「・・・え??」
そんなつもり全くなかったような木葉さん。
『あぇ、違いましたか!?すみません!!忘れてください!!』
(は、早とちりしたァー!!)
(恥ずかしいぃーー!!!)
私は恥ずかしくなって耳を熱くしながら俯く。それをそれをみた木葉さんは戸惑いつつも口を開いた。
木葉「あ、いや、えっ・・・と・・・」
木葉「ぎゃ、逆にいいの?俺とで・・・」
『え、はい!!もちろん!!』
木葉「まじ・・・?・・・走る走る!」
『! ありがとうございます!』
『それじゃあ明日5時に教室行きますね!』
木葉「おう、楽しみしてる。」
(やったー!約束ゲット!楽しみー!!)
木葉さんと一緒に走る約束を交わし、合宿6日目は終わった。
翌日の7日目の朝。
準備を終えた私は梟谷ゾーンへ向かう。
(んー・・・と、どこだろー?)
『っおわっ!?』
私がきょろきょろしていると、突然後ろから手で目を隠された。
木葉「オハヨー・・・ゆりちゃん。」
『その声は!木葉さんおはようございます!』
目を塞いだまま大きくあくびする木葉さん。
木葉「朝5時はきついわー・・・」
『慣れないとそうですよね!ところでこの手はなんですか、!?』
木葉「あー、そのー、あー・・・」
木葉さんが突然もごもごし始めたので、私は疑問に思い手からするっと抜けて木葉さんを視界に入れた。
が、その途端頭を隠しうずくまってしまう。
『? 木葉さん?お腹痛いですか!?』
木葉「いや、ちょっと・・・さー・・・」
『もう!なんですか!!』
木葉「だって俺・・・寝癖やばいから見せたくないんだよぉー・・・」
『えぇ??』 (いや女子か!!!!)
衝撃の理由。思わずツッコミそうになるがなんとか飲み込み木葉さんを立ち上がらせる。
『ほら立ってくださーい!』
恥ずかしがっていて目を合わせてくれない。
『・・・?そんな酷くないですよ?』
木葉「いややば・・・あ、音駒の黒尾クンよりかは確かにマシだわ。」
木葉「いやでもなー・・・」
(この人・・・意外とチャラくもないな・・・)
(ていうか早く走りに行きたい!!)
埒を開かせるため、私は木葉さんの髪を少しだけ撫でる。
木葉「ん”!?!?なに?!!!」
『あ、すみません!つい!』
『ふふ、でも大丈夫ですよ。木葉さんは今日もいつも通りかっこいいです!』
木葉「は、はァ〜・・・、??」
『早く走りに行きましょ木葉さん!』
私は木葉さんの腕を引く。
木葉「、うん。敵わないわぁ〜・・・、笑」
『やったー!』
そのまま校門を出て、私と木葉さん2人はゆっくりと走り出した。
数分経ったころ、走りながら鼻歌を歌う。
『・・・〜♪』
木葉「お!その曲俺も知ってる!」
『え!そうなんですか!私好きなんです!』
木葉「分かるわ〜!」
『・・・〜〜♪』 木葉「〜〜♪」
鼻歌に木葉さんも参加して歌いながら走る。
木葉「〜♪」 『〜〜♪』
木葉「・・・ふはっ、俺ら2人で走りながら鼻歌歌ってるなんて、不審者かよ笑」
くすくすと笑う木葉さん。なんだか可愛い。
『ふふ、確かに変ですね!』
『〜〜♪♩』 木葉「〜〜♪」
(えへへー!楽し!!)
どんどん大きくのびやかになっていく鼻歌。最後まで歌い終わると、異変に気づいた。
『・・・あれ?木葉さん!』
木葉「ん〜?どうした?」
『こ、ここ・・・どこでしょうか・・・』
木葉「何言って・・・ってあ!?」
周りを見渡しても全く見覚えがない。
そう。歌うのに夢中になりすぎて、2人で迷子になってしまったのだ。
『ええええどどどうしましょう・・・!?』
木葉「あー・・・人に、?人に聞こう!」
『ていうか木葉さん東京住みじゃないですか!どこか分からないんですか!?』
木葉「いやぁー・・・残念ながら・・・」
『ま、まあ仕方ありません、!』
『とりあえず人に聞きましょうか!』
木葉「あ、ちょい待ち!」
木葉さんが突然私の肩をつかみ止める。
木葉「俺が声かけるから、ゆりちゃんはそばに居ててくんね、?」
『え、いいですけど・・・なんで・・・?』
木葉「いや・・・まあまあ、いいから、」
『? じゃあお願いします!』
謎の要望により、声がけ作戦が始まった。
それから数分後。
木葉「あの〜・・・すみません」
女「あ、すみません。ナンパ無理なんで〜。」
またも歩いていってしまう女性。
木葉「・・・・・・」
『ファーーーーwww!』
木葉「ちょっ、笑うなってゆりちゃん!」
『あーっははは、はーー・・・』
『・・・す、すみません!だって5人目ですよ!』
木葉「うぐぐ・・・」
(絶対木葉さんがチャラそうだからだ・・・)
作戦開始してから5人の女性に声をかけたが、全員ナンパだと思って行ってしまったのだ。
私が爆笑していると、突然スマホがなった。
<ヴーヴーヴーヴー・・・>
『ん?・・・あ!木兎さんから電話です!』
木葉「あ〜?木兎ぉ〜?」
私は珍しいなと驚きつつも急いで電話出る。
<ピッ>『はい!もしもし西川です!』
木兎「あ!!赤葦出たぞ〜!」
赤葦「! ほんとですか!」
木兎「西川今どこいんだよ〜!?!もう朝練始まってんぞ〜!!」
『あ、そういえばもう8時ですね・・・』
(や、やばい、!!)
赤葦「木葉さんもそっちにいる?」
『はい!実は2人で走っていたら迷ってしまいまして・・・』
木兎「え〜!?!!だって赤葦!!!」
赤葦「はぁ・・・木葉さん聞こえますか?」
木葉「おー、すまん赤葦。」
赤葦「周りの電柱とか見てみてください。住所とか書いてないですか?」
木葉「あ!書いてある・・・△△ー△?」
赤葦「ああ、なるほど。」
赤葦「ゆりさん今から言うこと覚えれる?」
(きっと道を教えてくれるのかな?)
木葉「いやいや・・・さすがに無理じゃ・・・」
『はい!もちろん!』 木葉「え?」
私は頭のスイッチを入れる。
赤葦「その近くにある〇〇を左側に、△△まで歩いて□を右に・・・」
淡々と説明する赤葦さんの声に、バレー同様ひどく集中する。
数分後説明が終わり私は息を吐き出した。
赤葦「・・・覚えれた?」
『はい!それじゃあ5分で向かいます!!』
『飛ばしますよー!木葉さん!』
電話を切り靴紐を結ぶと、木葉さんは混乱している様子だった。
木葉「・・・え??今の1回だけで覚えたの?」
『? はい!覚えましたよ!』
木葉「えぇ・・・ゆりちゃんって頭いい系?」
『うー・・・ん?そんなに良くはないですけど、集中すればある程度は!』
木葉「て、天才ってこえぇー・・・」
『? とりあえず早く行きましょー!』
木葉「ん、ゆっくり行こーぜー。」
『だめです!遅れちゃってるんですから、5分がタイムリミットです!!』
木葉「えぇぇ〜・・・」
私と木葉さんは、赤葦さんに言われた通りの道順で走り出した。
合宿7日目のお昼、楽しかった東京合宿もあと数時間で終わってしまう。
(短いよ〜!!😭 1年ぐらい欲しい・・・)
寂しいと心の中で叫ぶ。今は前半練習のローテが終わり、わりと長い休憩中。
私はぼーっとボールを磨いていた。
日向「おーい!にしかわー!!!」
日向「レシーブ!教えて!!」
すると日向が向かい側の扉から出てくる。
『うん!いいよー!』
灰羽「西川ー!俺にも教えて!!」
『リエーフ!もちろん!』
私が立ち上がると日向の後ろからひょこっとリエーフ。しかしそれでは終わらなかった。
菅原「ゆりちゃん俺のトス打ってくれんべ!」
『えっ、菅原さん!?』
山口「西川さんっ、サーブ練っ・・・」
『あ、うん!おけ!』
影山「西川、やすり、やっ・・・てくれ・・・コラ」
『ちょ、またぁ〜!?』
『影山上手いんだから自分で出来るやん!』
影山「・・・るせぇ。いいから、」
黒尾「ゆりサ〜ン?ツッキーとブロック練・・・ってえ?どういう状況??」
『く、黒尾さん!えー、えーっとですね、』
月島「僕休憩したいんですケド・・・」
2つの扉からどんどんとでてくる方々。どうしようかと固まる私。
灰羽「西川ー?はーやーくー!!」
『う、うすっ・・・!』
『受けて立つぜっ、・・・!!』
私は全力で全員の練習を手伝い始めた。
日向「にしかわ!こう?!」
『お、そうそう!上手くなってきてる!』
『リエーフは腕を曲げずにー・・・』
灰羽「ううぅ・・・ブロックやりたいー・・・!」
『ほらほら頑張って!』
『あっ、西谷さん!少しだけ練習手伝ってもらってもいいでしょうか・・・!?』
西谷「おー!いいぜ!」
『ありがとうございますぅー・・・!😭』
『じゃあちょっと山口くんのとこ行くね!』
山口「・・・どうだった?今の!」
『威力が落ちてなくていい感じ!後は手首をひねらせて回転を・・・』
菅原「トスちょっと高かったか〜?」
『う〜ん、そうですね・・・高さというよりかは速さをもう少し・・・』
『うんいい感じ!月島くんあとは指をー・・・』
月島「・・・こう?」
『そうそう!月島くん指長いね!?』
日向「西川ー!アンダーの指ってさ!」
『えっ、ちょっと待ってて日向!ごめん!』
『影山おまたせー・・・!猛スピードでやる!』
影山「おう。ゆっくりでいいぞ。」
『今お待ちの方が5人でしてね・・・』
影山「やっぱうめぇな。」 『ふっふ!』
灰羽「ねーねー西川ー!!」
『えっ、あ、はーいっ・・・!』
(・・・・・・つ、疲れたぁ・・・!!!)
私は体育館の隅に座り込む。
あの練習地獄を数十分。我ながらよくやり遂げたと思う。
(足痛い・・・頭使いすぎた・・・)
(・・・ふふ、でもちょー楽しかったー!!)
そんなことを考えていると、横から聞き覚えのある声で名前を呼ばれる。
黒尾「ゆーりサン♡」『? 何で・・・』プニッ
私がそちらに向くと、ほっぺが突つかれた。
『・・・・・・』
黒尾「ふはっ、綺麗に引っかかった〜笑」
(この人・・・慣れるとダルいな・・・)
『・・・これで終わりなら、バレーの練習再開してください。』
黒尾「いやいや!これがやりたかったのもあるけど、本題はアッチ。」
体育館裏を指さす黒尾さん。
覗いてみるとそこにはグリルや机が何個か置いてあった。何用だろうか。
『? なにかのお手伝すればいいんですか?』
黒尾「当ったり〜。ほら。」
差し出された手を掴み起き上がる。
『ありがとうございます!』
黒尾「今日が最終日だからさ、BBQでもやろうと思いましてねー。」
『え?!めっちゃいいですね!!』
体育館裏に出ていく黒尾さんの横に着いていきながら、BBQに興奮する。
黒尾「デショ〜?」
黒尾「でも準備する人が少ないンで、ゆりサン手伝っていただけますかね。」
『もっちろん!何でもやります!』
飛び跳ねる私に、黒尾さんは軽く笑う。
黒尾「ありがとうございマス。じゃあさっそく始めっか〜」
『はい!楽しみです!』
木葉「お、黒尾サン勧誘成功?」
黒尾「なんでそんな詐欺師っぽいの??」
『あ!木葉さん!こんにちは!』
木葉「コンニチワ〜。頑張ろうね。」
『はい!お願いします!』
それから私と黒尾さん含め、スパダリが多くいる準備隊はそそくさと準備を始めた。
終わり.