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回廊を抜けた先にあったのは、巨大な円形広間だった。
黒曜石の床に、十の紋章が淡く灯っている。
「そこに立て。」
低く、鋭い声が響く。
現れたのは、二人の男。
同じ顔立ち。
同じ歩幅。
同じ銀と赤のオッドアイ。
だが、纏う空気は対照的だった。
片方は鋭く、刃のように冷たいーー髪は黒から赤へとグラデーション。
片方は静かで底の見えない水面のようーー髪は水色から銀へのグラデーション。
「冥府特務監察官。」
低い声の男が告げる。
「ルークス・ディオスクロイだ。」
続いて穏やかな声。
「ルーカス・ディオスクロイ。戦術監察を担当する。」
十人の視線が集中する。
ベルゼルドが小さく舌打ちし、リリオナが目を細める。
レヴィアンは無言で双子を観察する。
アモンティウスは肩を回し、小声でつぶやいた。
「監察、ねぇ…」
ルークスが一歩踏み出す。
「お前たちは特例部隊として編成される。」
ざわめき。
ルーカスが続ける。
「優秀だからではない。危ういからだ。」
視線が一瞬だけ少年ーアゼリオンーで止まる。
空気が張り詰める。
「三隊に分ける。」
黒曜石の床が光り、紋章が三色に分かれる。
第一隊(三名・前衛制圧型):
サタニア・カルディア
レヴィアン・オクス
リリオナ・ヴェイン
第二隊(三名・戦術・撹乱型):
バルミエル・ノクター
ベルゼリウス・サヴェル
アスモリウス・ケイラン
第三隊(四名・実働中枢型):
アゼリオン・ルシオン
アモンティウス・カイ
アバディール・クロノス
ベルフェガル・ドラン
ルークスが告げる。
「任務は単純だ。成果を出せ。」
ルーカスが微笑む。
「信頼は積み上げるものだからね。」
少年はその視線を受け止める。
ほんの一瞬、ルーカスの瞳が揺らいだ。
(封印…天界式か)
だが何も言わない。ただ、観察する。
冥府の中枢
広大な玉座の間。
闇そのものが座すーー魔王。
その前に跪く双子。
「報告しろ。」
低く、重い声。
ルークスが言う。
「ルシオンの名を持つ者。力は未熟。だが胆力はある。」
沈黙。
ルーカスが続ける。
「羽を封じていました。」
空気が止まる。
「天界術式です。」
魔王の瞳がわずかに光る。
「…混血か。」
ルーカスは否定する。
「いいえ。堕天です。」
魔王は問う。
「貴様はどう見る。」
一瞬の間。
ルーカスは答える。
「危険です。」
ルークスが横目で見る。
ルーカスは続ける。
「だが、まだ排除すべき危険はない。」
沈黙。
魔王の声が落ちる。
「監視を続けよ。」
「は。」
双子は頭を垂れる。
立ち上がる直前、魔王が低く呟く。
「ルシオン…か。」
広間に戻る十人
十人が散っていく。
アモンティウスが少年の横に並ぶ。
「なぁ。」
「何だ。」
「さっきの視線、気づいてるよな。」
少年は静かに答える。
「ああ。」
「やばい橋、渡ってんじゃねぇのか。」
「渡るしかない。」
アモンティウスは小さく笑う。
「ほんと、面倒なやつだな。」
その背後。
双子が並んで立つ。
彼らは同じ方向を見るーー少年の背中。
オッドアイが冷たく光る。
その瞳は、全てを見通すようでありながらも、感情を微かに揺らす。