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#カップヘッド
芝生の反逆者
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ぴのん
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覚え
少し寒くなってきた日のとある昼下がり。
少し早めに仕事の終わった私は、やる事も無いので、周りより一足先に帰宅することにした。
その旨を所属する班のリーダーである上司…ヘズマンさんに報告しようと、拷問班長室の扉を叩き、報告を終え、少し雑談をしていた時。
ふと、彼の顔に身体の一部かのように掛けてある真っ黒なサングラスに目が行った。
サングラスは私が吸う煙草と同じような特注品らしく、レンズはどの黒よりも黒く、何故か左右や頭上から見ても彼の目元は見れない。
彼によると「そういう能力付き」らしい。
そして私も、他の社員も常々疑問を持つ問題。
彼がサングラスを外す姿を一度も見たことが無いのだ。
どんな時もサングラスを肌身は出さず掛けている彼に、「シャワーや就寝の際も掛けているのでは?」という噂話が噂好きな受付嬢等を中心に漂っている。
後者に関しては一度別の班の社員が彼が仮眠を取っているところを目撃したらしいが、
やはりサングラスは外していなかったらしい。
…其処迄して見られたくない「何か」があるのだろうか?
「…リーダーはずっと、サングラスを掛けていますね。外さないんですか 」
思い立ったが吉日。
疑問を解消する為に、私は何十回目か判らない質問を彼に投げ掛けた
『外さないヨ?』
相変わらずの不思議な喋り方で、聞き慣れた返事をされる。
「でも、ずっと掛けてると辛くないですか」
更に追い打ちを掛けてみた。
『此れ軽いから全然辛くないんだよね〜。職人って凄くなイ?』
ヘラヘラと笑い、 そう云う。目元が見えないからか、 本当に其れが笑っているのかすら判らない。
参ったな、此れでは何時もの調子に流されてしまうかもしれない
そう思い、別の方面から質問した
「何でサングラスを掛け始めたんですか。 」
聞いた瞬間彼の顔が少し強張った気がするが、恐らく気の所為だろう。
『…何でだろ。覚えてないヤ』
ハハハと又笑う。
…先程より声が沈んでいる様な気がしないでもない。
『オールドは何で煙草吸ってんノ?』
「え、」
仕返しだと云わんばかりに、質問された。
『厭、ほら。僕って煙草も御酒もしないから、何でするのか良く判らなくてサ?』
ね?と云い訳の様に言葉を並べ、返事を犬のように大人しく待っている。
煙草。私の生命線のようなもの。
其れを手に取った理由。
吸い始めた、理由。
思い出したくもない、あの日の事件。
忌々しい、あの____
「覚えてないです」
此れ以上過去を振り返ると不味い気がして、咄嗟に理由を偽った。
『…嗚呼、そう』
彼は残念そうな、何処か呆れた様なような、怒っているかのような、つまらなさそうな__そんな感じで呟いた。
此の人に嘘は通用しない。毎回、心を覗き込んでいるかの様に見抜かれる。が、今回は見逃してくれた様だ。有難い。
気まずい沈黙が数分続いた。
此の儘帰るのも気まずい。どうするべきだろう…
『もう仕事終わったんでしょ?早く帰って休みなヨ。』
沈黙を先に破ったのは彼だった。
「あ、はい。有り難う御座います。失礼しました」
礼を述べ、其の儘帰宅した。
…未だ彼の事を知り切るには長い時間がかかりそうだ。
終わり
コメント
3件
触らぬ神に祟りなし(?)
「覚えてない」——その言葉に込められた空白が気になりました。ヘズマンさんもオールドさんも、訊かれたくなさそうな過去を抱えているのに、互いに詰め切れない距離感がいい。サングラスが“能力付き”という設定から、彼の視線すら読めない構造になっているのも巧いなと。