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「じゃあ、ロビーで待ってますね」
なんとも思ってない顔をしてリフレッシュルームを後にする。こんなに心が乱されるなんて、ここ数年で初めてくらいじゃないだろうか。
降って沸いた大チャンスを必ずこの手に掴んでやる。妙な意気込みを抱えて、ロビーで彼女を待った。
やってきた彼女の目は真っ赤なのを見て、やっぱり少し言いすぎたと申し訳なく思う。
でももう止まれない。彼女の手を自分のコートのポケットに押し込む。戸惑ってはいるけど、嫌がってはいない反応に安堵する。
会社の近く住んでいると告げると、驚いた様子の彼女。営業でちゃんと結果出してますから。特に使うところもないし、貯金は増えるばっかりだからマンションは投資に近い。
日々のストレスを解放するにはマンションでの生活はうってつけ。それがこんな風に役立つとは思っていなかったけど。
エントランスを通ると、彼女がきょろきょろと辺りを見回しながら、目を輝かせている。お望みなら毎日来てもいいですよ。一緒に住むのもいい。そんな妄想を悟られないように、知らんぷりしてエレベーターにキーをかざす。
彼女がときどき俺の顔を覗き込む。かわいらしい顔に、その唇を奪いたくなるのを何度踏みとどまっただろう。
天然なのか、なんなのか。
繋いだ手を、ぎゅっと握り返し、指を絡める。彼女が顔を見つめてきているのがわかったけれど、目を合わせる余裕はもうなかった。
エレベーターを降り、内廊下を2人で歩く。部屋の前で足を止める。ドアを開けたら、もう止まれない。彼女に同意だけはとっておこうと、センサーにかざそうとしたルームキーをすっと下げる。
いまさら嫌だと言われたら、フラれたうえに復讐に協力するってことになる。
まあ一度断られたくらいで、諦めたりしないけど。ほんの少しそれが怖いのは確かだ。
それでも確認しないわけにもいかず、ゆっくり口を開いた。「……本当にいいんですか?」
お願いだから、首を縦に振ってくれ。そう思いながら彼女の茶色の澄んだ瞳をじっと見つめる。
彼女が小さく頷くのを見て、すっと解錠した。
ぐいっと彼女の手を引っ張ると、壁に追い詰める。押さえつけていた理性がすっ飛び、荒々しく彼女の唇を奪った。
こうなることをどれだけ望んでいただろう。薄目を開けるとびっくりした彼女の顔。愛おしくて仕方ない。
少し離れて、また口づける。たまらず歯列を割って舌を差し込み上顎を撫でると、彼女の緊張が緩んでいくのがわかる。
「んんっ!!! ま、待って」
「逃げないで」
いまさら待つわけない。キスを深くすると、彼女の舌が俺の舌に絡みついてくる。それが嬉しくて、キスを止められない。
息苦しくなったのか、藤原さんはすっと俺から離れる。戸惑う彼女を寝室に連れ込んでコートを脱がせ、ベッドに押し倒した。
キスで彼女の動きを封じる。さっきよりも情熱的に口づけながらも、ゆっくりと彼女のブラウスのボタンを外していく。
「しゃ、シャワー浴びたい」
「だめです。相性いいか確かめるんでしょ」
ここまできて、いまさらシャワーなんか浴びさせない。バタバタ脚を動かして抵抗すると彼女をよそに、ブラウスを全て脱がせる。
ブラジャーだけになった藤原さんの上半身が月明かりに照らされて、ぼんやりと浮かぶ。ごくりと唾を飲み込んで、その刺激的な姿に釘付けになった。 ちょっ……なに、このかわいらしいブラは!? いつもこんなかわいいのしてるんですか? これはやばい……。
「かわいい……」
「えっ?」
思わず声が漏れる。だって可愛らしすぎません? レースのオフホワイト!!
「いつもこんなかわいいの付けてるんですか?」
素直に口からつらつらと言葉が出てくるので自分でも感心する。
頬を赤くした彼女。その色っぽい鎖骨にちゅっと口付ける。少しだけ吸うとピクピクと身体が小さく震えている。
感度がいいのか、なんなのか。唇を彼女の身体に押し付けながら、嫌がっていないか確認していく。
藤原さんは、普段から基本的に断らない。だいたいのことは受け入れてくれるけど、それは彼女の長所でもあり短所でもある。
無理する彼女の姿を見ると、複雑な気持ちになった。今回のことがそうであったら大変だ。
「いやだったら、途中でもちゃんと言って」
これだけは念を押したい。嫌がられてまでこれ以上は進めたくない。いやよいやよも……だったら別だけど。
「ねぇ、永井くん、あの……」
永井……。抱かれててもそう呼ばれるのかな。せっかくなら甘い時間を過ごしている時くらい、名前で呼んでほしい。そのときだけ、せめてその時だけでもいいから。
「抱かれるときくらい、名前で呼んでください」
「え……あ、あつと?」
やばいやばいやばい。そのかわいらしい声で呼ばれただけで、下半身に何かが溜まる。「俺も呼んでいいですか? 名前」
「う、うん……」
「花音? 確かめよ、セックスの相性」
夢にまでみた名前呼び。俺は高校生にでもなったのか。いや、今どきの高校生よりも青いのかもしれない。呼びたくて呼びたくて、仕方なかったその名前。
かわいらしいその名を、口にするだけで脳が溶けそうになる。
たぶん、相性はいいと思いますけど確かめましょう? 花音の首筋に吸い付いて、だんだん下へ降りていく。
おへその周りを舐めてから、太ももの付け根のあたりをちろっと舐める。