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注意事項
〇今年もシスコン登場します。
〇全体的にコメディーに走りました。
〇ちょっとキャラ崩壊してます。
〇謎テンションによる謎が入り混じってます。
〇オリキャラ出ます。
〇【2025年の書き納め】を読んでから本作を読む事をお勧め致しますが、別に読まなくても大丈夫です。
〇安穏?本作では瞬で消えますよ。
〇今年もよろしくお願いいたします。
以上の事を御理解の上、本作品をお楽しみ下さい。
朝。昨夜の騒動は嘘のような静けさと、穏やかさ。
愛華はただ無言でおせち料理の最終工程を済ませた所だった。
門松には少しばかりだが、雪が積もっていた。
わざわざ、今年はおせち料理を重箱に詰めた理由は至って簡単。和華が「重箱に入ったおせち料理を食べてみたいです」と言ったからだ。
「よし。運ぶか」
少し気合いを入れるように声を出して、重箱と大皿を両手で持って居間へ運ぶ。
紺青色の空が愛華の別荘を覗き見ている。
まだこんな早朝には愛華以外目を覚ましていない。
故に、愛華だけの、非常に貴重過ぎる安穏の時間。
居間の机に重箱や大皿、お屠蘇をそっと置き、一息つく。
(あいつらが起きるまで、本でも読むか)
なんて考えて、立とうとした時だった。
「姉さ〜ん!!あけまして〜〜!おめでとう!ございま〜〜す!!!」
愛華の安穏は、早々に打ち砕かれた。
年明け早々に叫び、元気な証拠(?)を見せたのは鈴華だった。
愛華は小さくため息をつき、勢いよく障子扉を開けた鈴華に視線をやった。
「あけましておめでとう。今年もよろしくな、鈴」
愛華はドール達の正装と呼ばれる服みださぬように、普段よりもゆっくり目に動いた。
愛華の正装は、黒と赤の袴姿に、焦げ茶の羽織を肩にかけた和服姿だ。
__愛華は普段から着物を着ている為に、実際大して貴重な格好ではないが。
「今年も沢山写真撮らせてね!」
そんな鈴華の満面の笑みに愛華は、即答で拒否した。
そんな鈴華も、普段着ではない。ドール達の正装と呼ばれる服を着ている。
__と言っても、黒を基調としたワンピースに、下半分だけある狐面と言う、何とも言い難いものなのだが。
「新年早々騒々しいですよ、鈴姉さん」
ため息交じりに、炎帝が障子扉から顔を覗かせる。
普段着とは違い彼もドール達の正装を着ていた。
大日本帝国陸軍の緑の帽子と軍服。左側の袖には腕が通っていないが、まるでそこに本当にあるように袖の形は崩れていない。
帽子からは、薄い赤の髪が少しだけ顔を覗かせていた。
「あけましておめでとう。今年もよろしくな」
顔を覗かせた炎帝に愛華はそっと微笑みながら、新年の挨拶を交わす。
「はい、あけましておめでとうございます。本年も何卒よろしくお願いいたします」
炎帝の堅さは変わらずだが、何時ぞやの日よりは笑顔が増えている。
「あけおめ。ことよろ〜」
鈴華の軽さも健全であった。
そんな3人の元に、キャキャとした可愛らしい話し声が聞こえてきた。
障子扉を優しく開き、陸華と和華が居間へと入ってくる。
小さな声で陸華が合図を出したかと思うと、2人声を揃えて__
「「あけましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします」」
そう笑顔で言った。
まさにこれこそエンジェルスマイル。
誰もが心を現れる笑顔であり、鈴華の煩悩すら一時的に消え失せるものだ。
「「あけましておめでとう。今年もよろしくな」」
そんな二人に口元が少し緩んだ愛華と炎帝が声を重ねた。
陸華の正装は、炎帝と同じく陸軍の緑の軍服だが、帽子には日除けが付いており、ズボンではなくくすんだ茶色のスカートを履いている。
そんな陸華の隣に立っている和華はと言うと、可愛らしいレモン色と空色の透け感のある服に、薄手のピンクのカーディガンを羽織っている。
これが普通の服であれば寒いだろう。だがしかし、彼女の着ているのはドールの正装である。
気温が高ければ、涼しく、気温が低ければ、温かく感じるのだ。つまり、着用者にとっての快適な温度になるのだ。
便利すぎる。
そんな、少しほんわかとした空気を打ち破るようにドタドタと騒がしい足音が2人文廊下から響いてきた。
「炎海兄さん、起きない、せい!」
「ごめんって〜!!」
そんな言葉を交わしながら、障子を勢いよく開け、炎海と空炎が居間へと駆け込んできた。
「あけおめ、ことよろ!!」
「あけまして、おめでとう。今年、よろしく、お願い、する」
満面の笑みを浮かべた炎海は、真っ白な大日本帝国海軍の軍服を正装とし、少し怒り気味の空炎は、茶色の大日本帝国航空隊の隊服を正装としている。
「あけましておめでとう」
そんな正反対でも、どこか似ている双子に愛華は笑みを浮かべる。
「今年もよろしくね」
陸華は変わらぬ優しい笑顔で双子を出迎えた。
「さて、全員揃った事だし料理の前に、屠蘇を飲むか」
そう言って愛華は、あらかじめ用意していた朱塗りの屠蘇台の上に乗せた盃と銚子を手に取った。
愛華に差し出された一番小さい盃を受け取った和華は事前に調べたらしく、少し自慢げな表情をしている。
3回に分けて注がれたお屠蘇(?)を飲み干した和華は、少し自慢げな表情で一言。
「大人の味がします!」
実際和華の手にした盃に注いだお屠蘇(?)は、屠蘇散を水で煎じただけのノンアルコールである。
そんな和華の言葉を全員の口元が少し緩むか、完全に緩んだ。
「よかったね」
ニッコニコの少し崩壊している笑顔で鈴華がそう話しかければ、和華からは満面のエンジェルスマイルが返ってきた。
「ちょっと鈴姉さん?!新年早々昇天しないでくれませんか?!!」
両手を合わせ天を仰ぐ鈴華に炎帝はキレのいいツッコミを入れた。
「……はっ!て、天使がいた!」
「年明け早々にボケに走るな」
意識を取り戻した鈴華には愛華からの軽いツッコミも入った。
そんなこんなで一騒動、二騒動ありつつ、お屠蘇を全員が飲み終えた。
「何故、屠蘇を飲むだけでこんなに騒がしくなったのやら…」
重箱の蓋に手を伸ばしながら愛華が放ったのはそんな一言だった。
そう言うのも無理も無い。
ノンアルコールだと気づいて嘆いた三女者が1名、双子の兄に膝蹴りをお見舞いした者が1名、ため息をついた長女の写真を撮った者が1名……。
そんな事を思い出しながら、漆塗りの蓋を垂直に上げた。
流石に七人分のおせち料理ともなれば量も多いようで、重箱が通常よりも何倍か大きい。
先ず初めに見えた一の重の中身は、宝石のようにキラキラと光を反射させた黒豆や栗きんとん、数の子などがあった。
次に顔を出した二の重の中身は、伊勢海老が4匹中央に堂々と入っており、その周りには酢の物が敷き詰められている。
三の重には煮しめの蓮根や人参、こんにゃくなどが敷き詰められていた。
そして、最後に愛華は、今にも箸を手に食べだしそうな炎海達を横目に、重箱の隣にある蓋のされた大皿に手を伸ばした。
蓋を開けたそこには食べ盛りの欲望が詰まった厚切りローストビーフがあった。
その隣にはまだ湯気のたっているお雑煮が人数分ある。それを愛華はそそくさと配った。
去年よりも豪華な内容に、陸華や炎海、空炎までもが目を輝かせる。
愛華がそっと合掌したのを合図に、全員で声を揃え、
「いただきます」
そんな言葉を言い終われば、端を切ったように炎海はローストビーフへと箸を伸ばす。
目にも留まらぬ速さで口に入れると1言、「うっま!!」と叫んだ。
「ん〜!厚切りなのに柔らかい!」
陸華は頬に手を添え、食レポをする。
「姉さんからの愛の結晶…」
わざわざ狐面を付け直してまでその1言を話す鈴華。
「これは、伊達巻きと言って、知識の増加や学業の成就を願う意味があるんです。ついでに甘くて美味しいですよ」
「甘いんですか?!」
豆知識を教えて貰いながら色々食べてみる和華と教える炎帝。
「これ、僕の!」
「半分こしようよ!!」
伊勢海老を巡って攻防戦を繰り広げる空炎と炎海。
そんな彼らを見つめながら、愛華は関西風のお雑煮を一口。
(今年も、皆が平和に暮らせますように)
そう願いながら、丸餅を口に入れた。