❦第二話❦
私は、チェルニー侯爵家の長女、アンジュリーク・チェルニー。
幼い頃、ベランダの手すりに座って遊んでたら王子様に押されて落ちたことがある。
でも、その時に誰かに助けてもらったような…
あれは、誰だった…?
「お姉様?どうされました?ぼーっとして」
横から幼い声が聞こえる。
周りがとても騒がしい。そうか、今は私の誕生日パーティー中だ。
「なんでもないわ。クローディア。」
この子はクローディア・チェルニー。
私の唯一の姉妹。本当に可愛くて大好き。
「具合が悪いようなら別室で休憩なさっては?」
「ありがとう。そうさせてもらうわ。」
私は妹にそう告げるとパーティー会場を後にしようとしたが……
「おやおや、アンジュリーク。どこへ行こうというんだい?」
しまった…。 私は心の中でつぶやいた。
このパーティーには、王子も来ていたのだ。
「明日にはうちに来るのだろう?」
「そうですね。」
「では、これからはお前でとことん遊べるということだな。」
「っ…!!」
「明日から楽しみだなぁ!」
王子は高笑いをしながら遠ざかっていった。
「お姉様……」
「大丈夫よ。では、私は失礼するわね。」
「はい…」
今度こそ私はパーティー会場を後にした。
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