テラーノベル
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──数日後。
岩本からメッセージが届く。
💛「キャンプでもどうだ?」
💛「準備は俺が全部やる」
そして。
💛「これで最後にする」
💙「……」
しばらく画面を見つめる。
💙「わかった」
それだけ送る。
これで最後。
こんなに胸が重いイベントなんて、あっただろうか。
その日が来るのが、怖かった。
──────────────
──当日。
澄んだ空気。
静かな森。
淹れたてのコーヒーの香りが、ふわりと広がる。
💙「……うま!」
💙「肉もやばいな、これ」
💛「よかった……」
焚き火の向こうで、岩本がやわらかく笑う。
💙「てか、ソーセージ多くね?」
💛「つい、たくさん買ってしまった…」
そう言って美味しそうに頬張る姿に、
渡辺は思わず目を細めた。
💙「それにしても本格的すぎだろ」
💛「たまにこうして、一人キャンプするんだ」
💛「会社で人付き合いに疲れたとき」
💛「こういう時間が、心地よくてな…」
💙「……俺、邪魔じゃないのか」
💛「まさか」
少しだけ視線を逸らす。
💛「渡辺といると、落ち着く」
💛「短い間だったけど」
💛「楽しかった」
💙「………」
お互い、本当のことは言わない。
言えない。
——偽装じゃなくて。
本当に、お前と─────
💙「……俺も」
💙「楽しかった」
💙「ってか…」
💙「高校の頃とは、見る目変わった」
💛「どう変わった?」
💙「無表情で、近寄りがたくて、それでいて、いつも完璧で」
💙「正直、ずっと嫉妬してた」
💙「……でも、憧れてたんだと思う」
岩本が静かに笑う。
💛「俺もだ」
💛「あの頃から、お前は、何事においても真剣で」
💛「その姿に俺は——」
言葉が途切れる。
火のはぜる音だけが響く。
少し寂しそうな横顔。
いつの間にか、辺りは暗くなっていた。
揺れる炎が、
俺の心を切なくさせた。
つづく。
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