テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
花凜
──キャンプのあと。
二人の距離は、少しずつ離れていった。
職場では今まで通り。
完璧な“恋人”。
でも、仕事が終われば別々。
プライベートで会うことは、なくなった。
──────────────
ある日の休憩時間。
一人でコーヒーを飲んでいると、
女性社員の声が耳に入る。
「ねぇ聞いた? 岩本課長」
「転勤決まったって」
手が止まる。
「でも二年だよね?」
「それでも寂しすぎる」
「岩本課長がいたから頑張れたのに」
💙(……は?)
頭が真っ白になる。
💙(転勤…?)
胸が強く鳴る。
嫌だ。
反射的にそう思った。
──────────────
課長室に入る。
💙「岩本」
💛「……」
💙「今日、仕事終わりに話がある」
💛「……わかった」
💛「ただ、遅くなるかもしれない」
💙「いつもの喫茶店で待ってる」
覚悟を決めた声だった。
──────────────
夜。
時計は九時を回る。
閉店は十時。
何度もスマホを見る。
来ない。
……帰るか?
いや、
待つ。
俺は疲れて眠りについた。
──────────────
「……渡辺」
目を開ける。
💙「…あ、…岩本」
💛「ごめん。起こせなかった」
💛「遅くなって悪い」
💙「……お疲れ」
──────────────
しばらくして。
💙「なぁ…転勤って、ほんと?」
💛「ああ」
短い返事。
💙「……嫌なんだけど」
💛「え?」
💙「離れたくない…」
声が震える。
💙「お前が、偽装なんて言うから」
💙「俺は……」
言葉が続かない。
気づけば、涙が落ちていた。
そのとき、
岩本がチョコケーキを一口分、フォークにのせる。
💛「ほら」
💙「は?何?」
💛「あーん」
口元に差し出される。
反射的に、食べる。
💙「……甘ぇ」
💛「…好きだ」
💙「……え?」
真っ直ぐな目。
💛「偽装なんて言葉…使ったけど」
💛「本当は」
💛「最初から好きだった」
💛「少しでも、近くにいたかった」
💛「俺だって離れたくない」
胸が、締めつけられる。
💙「……嘘だろ」
💛「本気だ」
一歩、近づく。
💛「二年経ったら戻る」
💛「待っててくれるか?」
💛「いや」
小さく笑う。
💛「定期的に会いに行く」
💙「……」
渡辺は、そっと岩本の手を握る。
💙「……わかった」
涙が止まらないのに、
不思議と、胸は温かかった。
偽装は終わる。
代わりに
本当の恋が、始まろうとしていた。
つづく。
コメント
2件

2年かぁ〜 会いに行って愛を育んでね💛💙