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ゆり組頑張れ~!!
説得、失敗。岩本は、運転しながら、イヤホンマイクで深澤に短い指示を送った。
『…ふっか、この先のサービスエリアに入れ』
『…了解。まさか、やるのか?』
『ああ。もう、これしかねぇ』
数分後。二台の車は、まるで示し合わせたかのように、同じサービスエリアの、一番端の駐車スペースに滑り込んだ。
突然の停車に、渡辺と宮舘は「おい、なんだよ」「…どういうことだ」と、それぞれの車内で警戒の声を上げる。
ガチャリ、と、それぞれの車のドアが開く。
岩本と深澤が、同時に車から降りた。そして、有無を言わさぬ態度で、後部座席のドアを開ける。
「…降りろ、翔太」
「…涼太、降りてくれ」
何が起こったのか分からないまま、二人は車外へと引きずり出された。そして、お互いの姿を認め、息を呑む。
そこには、ひどく憔悴した顔の、会いたくて、でも会いたくなかったはずの相手が、立っていた。
「…じゃあな」
「あと、よろしく」
岩本と深澤は、それだけを言うと、自分たちの車にさっさと乗り込み、エンジンをかける。
「おい、待てよ!」「どういうつもりだ!」
二人の制止の声も聞かず、二台の車は、渡辺と宮舘をその場に残して、サービスエリアを走り去ってしまった。
広い駐車場の片隅に、ぽつんと取り残される、二つの気まずい影。
超荒療治な作戦が、今、強制的に幕を開けた。