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私は以前、援助交際をしていた。それはお金が欲しかったからだ。そんなに大金でなくてもよかった。でもお小遣いが欲しかったのだ。初めは、ツイッターなどで、裸の写真などを売っていた。だけど、顔を直接あわさないやり取りでは失敗も多く、思ったほど稼げなかった。それで、もっと手っ取り早く稼ぐことにしたのだ。
最初はネットの掲示板に自分の写真を載せてみた。そして、相手を募集した。すぐに何人かの男性から連絡が来た。そのなかのひとりと会うことになった。ホテルに行ってセックスをした。相手の人は優しそうな人だった。でも、私を喜ばせようとして一生懸命なあまり、かえって空回りしている感じだった。それが悪いというわけではないけれど、そういうことをされると、なんだか疲れてしまった。結局、一万円くらいしか稼げなかった。
二回目はもう少しまともな人を探した。そして、今度はちゃんとした大人の男の人と会ってみることにした。相手は三十代の会社員だという男だった。彼は私に会うなり、「いくら欲しい?」と聞いてきた。「三万」と言うと、そのまま何も言わずに行ってしまった。お金を渡す気はないということらしい。そのときの私は高校生だったので、こういうこともあるだろうと思っていたけど、さすがに腹が立った。それでもしばらくはこの仕事を続けていた。
制服を着てプレイすると、いつもより稼げた。ただ、その服装ではホテルは利用できない。しかたないので、人気のない公園などを利用した。利用する男性は、そういう場所をよく知っていた。
最初は恥ずかしくて夜の公園を使っていたが、あまり遅い時間で歩くわけにはいかず、昼間も公園を利用するようになった。そういう場所には、案外昼間でも人は来なかった。
やがて高校を卒業し、大学生になると、援助交際も卒業した。そうして普通のアルバイトを始めたのだが、どうしても月に四、五回だけ働くだけでは生活できなかった。だから、私はまたわりのいいバイトを探していた。
そんなある日、ふと妙な仕事が目に留まった。ビデオのモニターになってくれる人を集め、実際に映像を観賞し、コメントをネットに書き込んでもらう。いわば一種のサクラなのだろうが、実際に人を集めるところは手が込んでいる。その、モニターになってくれる人を集める仕事だった。
私はうさんくささにためらったものの、応募してみた。やはりというかなんというか、その「映像」というのは、AVだった。しかし、それを観る人を集めるだけでお金になるなんて、楽なものだと思った。だが、現実はそれほど甘くはなかった。
「これを観て下さいね。あと、ここに書いてあることは絶対守ってください」
面接のとき、二十代前半の女性から注意を受けた。彼女は私のマネージャー役なのだそうだ。そこには秘密厳守など当たり前のことのほか、必ず私も観賞会に参加すること、そして私も感想を書くこと、とあった。
どうやら私が観るのは、素人モノらしい。内容はよくわからないが、とにかく画面を見ていればよいようだ。そして、感想を書く。それだけのことだった。
当日になり、指定されたスタジオに行った。そこはビルのワンフロアーで、パーテーションによっていくつかの部屋に仕切られていた。部屋に入ると、すでに何人もの男女が集まっていた。年齢はバラバラだ。私と同じくらいの子もいるが、明らかに年上の人もいる。みんな、どこか落ち着かない様子だった。これから何が起こるのか不安なのだと思う。
かくいう私も同じ気持ちだったが、とりあえず笑顔を浮かべていた。すると、部屋の片隅にいた女性が近づいてきて言った。
「あなたもこの鑑賞会に応募してきたんですか? 」
彼女の言葉の意味がよくわからなかった。それで私は首をかしげた。
「えっと、どういう意味ですか?」
「ここにいる人たち、みんなモニターの参加者よ。あなたもそのひとりでしょう?」
私は驚いた。まさかこんなに大勢集まるとは思っていなかったのだ。明らかに、私が集めた参加者より多い。他にも人を集める役の人がいたのだろう。そして女性は、私を集められた参加者だと勘違いしたらしい。都合がいいので、私は参加者のふりをすることにした。
「そうなんですよ。でも、こんな簡単なことでお金がもらえるんでしょうか?」
「それは、実際に始まってみればわかるわよ」
「そうですね」
それからしばらくして、鑑賞会が始まった。まず最初に、簡単な自己紹介があった。名前と年齢、職業を言う。私は学生ですと答えた。そこで、みんなの視線が私に集まった。私はなんだか恥ずかしくなった。きっとみんな、私のような若い子がどうして参加したのか不思議に思ったのだと思う。
その後は女性の指示に従って、それぞれが席に着いた。私も女性の横に座った。「それじゃあ始めます。皆さん、飲み物は行き渡りましたか?」全員がうなずき、グラスを持ち上げた。私もそれに従った。「では、今日は集まってくれてありがとうございます。それでは、カンパイ!」「乾杯」こうして、モニター鑑賞会がスタートした。(続く)