24 ◇恋人に立候補します
入社して3か月を過ぎた頃、帰りが一緒になり、ひまりは新堂とお茶して
帰ることがあった。
事務用品の取り扱いや管理方法を教わる時に別室の会議室などで
業務をすることがあって、その時交わした雑談などからかなりふたりは
打ち解けて話せる関係性になっていて、お茶する時も気負いなどは
ほとんどなかった。
「日比野さんって、結婚されてるって聞いてますけど……」
『誰から?』と思ったけど、あれかな、きっと総務辺りかしら?
「一応、書類上はね」
「何か、微妙な言い方ですね。何か問題抱えてます?」
「新堂さん、口固いですか?」
「はいは~い、貝のようにそれはもう固いですよ」
「いつになるかは決まってないけど、離婚する予定なの。
それでね専業主婦してたんだけど、正社員になるためにこの僻地にやって
来たってわけ」
「へぇ~、僕なんかまだまだ世間知らずの独身ですけど大人っていろいろと
大変なんですね」
「まぁね」
「理由なんか、訊いたら駄目ですよね?」
「駄目でしょ……」
「ですよね」ショボーン
「僕、日比野さんが晴れて独身になったら、恋人に立候補
しますよ」
「新堂さん、私の目を見てっ!」
そう言うとほんとにイケメン顔にくっついてるふたつの眼が
私の目を覗き込んできた。
「きれいなお目目が見えますぅ~」
「見えない? 私の目がビックリして、びっくり眼になってるのが」
「あはは……はぁ、どうも」
「それっ……さっきの、いいよね。-いただき~-」
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