〜桐谷 遥視点〜
今は放課後。本来なら私は屋上にいただろう。でも、今私がいるのは教室。みのりと一緒ではない教室だった。
遥「…………」
クラスメイト「きっ桐谷さん!」
遥「……あ、どうしたの?何かあった?」
クラスメイト「あ、ううん。えっと…ま、またね…!」
最近はこういう事が多い。私は確かにアイドルだった。その理由は明かしていない。明かすつもりもない。セカイの、誰かにも。
遥「…うん。また明日」
廊下の外ではこれからどこかへ遊びに行くであろうクラスメイトの姿がたくさん見えた。
遥「……行ってみようかな」
あそこには私が元アイドルだからといって差別をしてきたりはしない人たちがたくさんいる。
遥「…あの3人がいませんように」
そう願いながら「アイドル新鋭隊」を押した。
遥「…、」
セカイに来た私は周りに誰かいるか確認する。
遥「…誰も、いな……、えっ!」
ステージには誰もいない。ただ、私は見てしまった。
遥「ステージが…!!」
そこにあるのはボロボロのステージ、床に落ちているサイリウムだった。
遥「うそ…ッ!!」
信じられなかった私は花畑の方へと走った。どうか、花だけは無事でいてほしい。その願いは…叶うはずのなかった願いだった。
遥「え……うそ、でしょ…」
やっぱりそこにあったのは半分以上の花が枯れている花畑だった。
遥「私が…やったの?私が…¿?¿?¿?¿?¿?¿?¿?」
「遥ちゃんっ!!」
遥「あっ、メ、メイコ!?」
MEIKOがステージ裏から走ってきた。
MEIKO「久しぶりね、元気にしてた?」
遥「うん…ねぇMEIKO、これ…どういうこと?」
私は震える手で花畑の方を指差した。
MEIKO「…遥ちゃん、ちょっとこっちに来て!!」
遥「えっ?あ、ちょっと!」
MEIKOは私の腕を掴んだままステージの方へと走った。
ミク「みんな〜!ミクだよ〜!」
ルカ「ルカよ!」
ミクとルカが歌って踊るとボロボロのステージだったのに今だけは光り輝いてるようだった。
遥「…凄い…2人とも光ってるみたい…!!」
私も、行きたい。でも私は…
『よくもまあ、芸能界に戻って来れたよね』
遥「……………あ……」
ミク&ルカ「遥ちゃん!」
遥「えっ」
ミクとルカは笑顔で私に手を差し伸べた。
ミク「一緒に踊ろう?」
ルカ「すっごく楽しいわよ。ほら、手を出して!」
遥「………」
一度だけ。一度だけなら…!!
『ファンのこと悲しめたくせにさ〜?』
『もう一度希望を届けられるかなんて出来るわけなくない?w』
遥「…いや、いいよ。見るだけでも楽しいから」
みんな、ごめんなさい。私は…もう一度ステージになんか立てない。
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