亮平 side
亮平💚『たっだいまぁ〜////あはっ可愛こちゃんお客さんかなぁ?嫌な予感しかしないゾ!』
今日は2人にとって特別な一夜になる。待ちに待った2人のベットが届いたと翔太から連絡を受け取ると仕事なんかどうでも良くなるくらいには浮かれた。翔太も俺の帰りを待ち侘びてくれている事が嬉しかったんだ。
玄関扉を開けると勢いよく俺に抱きついた翔太は首にぶら下がってギュッとしがみ付いて離れない。綺麗に揃えられた革靴で来客が誰なのか一目で分かった。
翔太💙『抱っこ』
久しぶりの駄々っ子翔太だ///お客様の前だっていうのに…〝何かあったの?〟翔太は〝ん〟と言って唇を差し出すと触れるだけのキスをした。抱き抱えてリビングに行くと、予想通りの男がキッチンに立ちよく見ると目が赤く腫れている。
涼太❤️『おかえり亮平。荷物を置いて手を洗っておいで』
亮平💚『あぁはい?君は荷物に入るのかな?』
翔太は頰を膨らませて〝ん〜〟と唸っている。ソファーに座らせようとすると足をバタつかせて〝んーん!〟とまた唸った。帰ってきてからまだ〝抱っこ〟と〝ん〜〟しか声を聞いてないんだけど。抱っこしたまま部屋に荷物を置くと脱衣場へ向かい洗面台の棚へ座らせる。足をブラブラさせて微笑みながらこちらを見ている。〝何?さっきからどうしたの?〟洗濯機が音を立てて揺れ脱水が始まった事を知らせた。こんな時間に何で洗濯機回ってるんだろう。手を洗い終えると腕を伸ばして〝ん〟と言ってまた抱っこを強請った。
涼太❤️『もう直ぐご飯できるから亮平は座って。翔太いつまでもくっ付いてないで配膳手伝って』
当たり前のようにうちのキッチンで過ごす男。いつもより甘えん坊なうちの彼女…何これ?
俺疲れてんだけど… 面倒ごとは勘弁してよ?
豪華なディナーを前に先程までの心配は何処へやら。両手を合わせて翔太と2人で〝頂きます〟を大合唱するとクスッと笑った涼太は〝召し上がれ〟と両手を大きく広げた。
涼太❤️『亮平少しだけお酒付き合ってくれない?』
コップに注がれた缶ビールを一杯だけ、二つのグラスが音を立てると口に運んだ。グビグビと勢いよく喉にビールが注がれていく。
翔太💙『僕たちヤリました』
亮平💚『ゴホッゴホッゴホッうぇ?何?なんだって?』
翔太💙『隠し事はしたくないんだ!無理やりやられまして…カクカクシカジカありまして許す事になりました。今日から綺麗さっぱり幼馴染です。以上です』
亮平💚『はい?』
涼太❤️『まぁ取り敢えずご飯食べようか』
亮平💚『イヤ食えるか💢なんだよカクカクシカジカって!はぁ…今言う?…よし!分かった食おう!』
喧嘩するにも腹ごしらえは重要だ。爽やかな顔して食事をする敵を睨みつけながら敵の飯を喰らう。
隣で豪快な食べっぷりに〝おぅ〜〟と声を上げる翔太もついでに睨んでやった。
食事を終えソファーに座ると、コーヒーとケーキが運ばれてきた。
何処の馬の骨かも分からない男が背筋を伸ばして俺の前で正座をすると〝娘さんをください〟と今にも言いそうな勢いで俺の正面に座っている。
〝お父さん私からもお願い〟と言いたげな今朝まで俺の彼女だったはずの男の子は、並んで正座している。先程までの勢いは微塵もなく情けない程に臆病になった俺は、耳を塞いだ〝何も喋らないで2人とも…やっぱり聞きたくない…〟
涼太❤️『聞いて欲しいんだ』
翔太💙『聞いて欲しいの!』
亮平💚『聞かされる身にもなって?そりゃあなた方は喋った方が楽でしょう。でもそれは、俺から許しを乞いたいからだ』
翔太💙『はぁ?許せよ』
〝内容による…〟自分でも矛盾してる事くらい分かってる。逃げるように2人の寝室に篭ると待ち侘びた2人の真新しいベットが夕闇に寂しく居座っていた。
亮平💚『何で…シーツが無いんだよ‥最低』
〝コンコンコン…入るよ?〟
3時間前(15:00)
翔太 side
涼太❤️『今までずっと…忘れたふりしてくれていたの?』
そんな美化出来るような話でも無い。一度長期の記憶喪失を経験した後から涼太の魔法は次第にかからなくなった。涼太のしている事に初めはショックを受けたけど、そうさせてしまっているのも俺なんだと思うと涼太を避ける事は出来なかった。ただそれだけの事だ。いつかきっと分かってくれる日が来るだろうと…
翔太💙『覚えてる?涼太の家族と俺の家族でよく海水浴に行ったよね』
涼太はよく覚えているよと後ろから抱き付いた。俺は後ろから伸びてきた涼太の手を握った。
翔太💙『こうやっていっつも手を繋いで遊んでたよね…海水浴場の岩場で俺が怪我した時は、痛いって泣きじゃくる俺に〝痛い痛いの飛んでけ!もう大丈夫嫌な事は忘れろ忘れろ〟って言って俺が泣き止むと、次は涼太が、自分がちゃんと俺の手を握ってなかったからだって自分を責めて泣いたんだ』
そうあの時も…
幼稚園の水溜りにハマって泥まみれになった俺と一緒になって泥んこになって園長先生に怒られた時、洋服が汚れて泣いていた俺に〝大丈夫だから嫌な事は忘れろ忘れろ〟って励ましてくれた。そして涼太は自分が悪いんだと嘘を言って俺を庇うと園長先生から怒られて俺以上に大泣きしたんだ。
涼太はいつだって俺に〝大丈夫だよ〟って言いながらも最後は俺より泣いちゃうんだ。
翔太💙『俺より泣き虫だったんだよ?ほら今みたいにいっつも泣いてた』
〝涼太泣かないできっと明日はいい事があるよ〟
おまじないのように涼太の頭を撫でギュッと抱き付き背中を摩ると目を真っ赤に染めた涼太は乱暴に目を擦って口を一文字に結ぶと、応じるように腕を伸ばして抱き付くと〝翔ちゃん大好き〟って言って漸く泣き止んだ。
翔太💙『小さい時は俺の魔法の言葉も効いてたのに…早く泣きやめよ…涼太』
肩を震わせ静かに泣く涼太は、繋いでいた手を離すと握り拳を作って膝の上に置いた。
涼太❤️『ずっと俺が翔太を守っているつもりでいた…ごめん…沢山辛い思いをさせてしまった』
辛かったのも、忘れたかったのも、言えなかったのも事実。二人の関係を壊したく無いあまり俺は涼太に素直な気持ちを言えなかった。俺だけが我慢すればいい事ならいくらでも、いつまでも我慢できるんだ。でも今俺は一人じゃない。悲しませたくない大事な人がいる。
翔太💙『亮平の為にも終わりにして欲しい。俺のヒーローは生涯涼太だけだよ?お姫様にはなれないけどずっと友達でいられる。そうでしょ?』
涼太❤️『これで最後だから』
現在(PM8:00)
翔太💙『ていう事なんだけど…もう解決済みの案件だ!許せ』
亮平💚『ふざけるなよ💢俺たちの神聖なベットを汚しやがって…お前もお前だ!誰彼抱かれるなって言ってるだろ』
予備があるにも関わらず、シーツを掛けていないことにも怒られた。配慮がなさすぎると・・・ご尤もです。平謝りを続ける俺と、楽しそうに見守る涼太。
翔太💙『涼太お前も謝れよ💢元はと言えばお前が全部悪いんだぞ!結局最後はまた俺がお前の尻拭いしてるじゃないか!』
涼太❤️『ゆり組は2人でニコイチだからね…翔太の大人になった姿を見れて感慨深いよ俺は』
亮平💚『何の茶番だよ…もう2人ともどっか居なくなれよ…ううっ』
今度は亮平が泣き出した。堰を切ったように泣き出した亮平は子供みたいに肩を震わせて大粒の涙でベットを濡らした。
翔太💙『分かる分かるよ?亮平!泣かないできっと明日はいい事があるよ?』
亮平💚『お前それで全部済ませようとしてるだろ💢もう別れる出てけ!この尻軽女』
〝本当に出て行っちゃうよ?涼太と暮らすけどいいのね?〟亮平はどの口が言うんだよと怒りを露わにするとぴたりと泣き止んだ。
亮平が許してくれる事もわかってる。己の心と葛藤中の亮平はシーツのないベットの上で大声で叫びながらのたうち回ると漸く落ち着いて静かになった。
翔太💙『ふふっこういうのなんていうか知ってる…〝七転八倒〟』
亮平💚『テメェ💢殺してやる…抱き潰してやるから覚悟しろ💢』
ほらね…許してくれた。
翔太💙『亮平の愛なら全部受け止める覚悟だよ////早くっても平気さ亮平!何度でも繋がろう♪』
亮平💚『テメェやっぱり別れる💢』
翔太💙『ふふっ//』
涼太❤️『じゃぁ俺はお暇するよ。亮平ちゃんと手を繋いでいないといつ攫われるか分からないよ?任せられないと感じたら翔太を迎えにくるから』
亮平は疲れ切った顔をして涼太の後ろ姿を見送るとベットの上で縮こまっている。〝大丈夫?〟そう声をかけた俺に亮平は〝翔太こそ大丈夫なの?無理してない?〟そう言って優しく頰を撫でた。
翔太💙『優しくしないでよ…さっきみたいに怒ってよ…』
亮平💚『バカだね〜無理しちゃって全部お見通しなんだよ?無理して笑う必要ないんだよ?辛い時は泣きなさい。おいで』
流れる涙は亮平が拭う。辛い事は2人で半分こ。温かい亮平の胸の中に収まると大好きな落ち着く匂いに包まれた。
亮平💚『翔太…泣かないできっと明日はいい事あるよ。俺と一緒にいる限り永遠に』
翔太💙『涙止める気ある?泣かせにきてるだろう…』
亮平💚『ふふっ////だって可愛いんだもん』
バルコニーの床にシートを敷いて2人で寄り添いながら月を見上げた。満月の今宵は〝ハーベストムーン〟って言うんだって。東の空から登ったお月様は南の空高く登って西向かって沈んでいく。
十月の満月ハーベストムーンは〝許容〟〝無償の愛〟といった意味合いがあるのだと亮平が教えてくれた。
翔太💙『だから許してくれるの?満月だから?』
亮平はクスッと笑うと〝そう言う事にしておこうかなぁ〟なんて言ってはぐらかした。
翔太💙『はっ!待ってて亮平』
自室へ向かった俺がバルコニーに戻ると右手を掲げてお月様に向かってフリフリした俺を見て亮平はケラケラ笑った。
亮平💚『初め見たよ本当にフリフリしてる人!』
翔太💙『だって満月!満月に向かってお財布フリフリしたらお金増えるって』
亮平💚『俺のロマンチック返して?』
翔太💙『亮平が笑顔で笑ってくれるなら何回でもフリフリするよ?ありがとう亮平…ちゃんと愛してるよ。ごめんねいつも心配掛けて』
亮平💚『許容の範囲ギリギリだね…身体で償って貰わなきゃねぼくの可愛こちゃん』
翔太💙『イャァー無償の愛じゃないの?ガッツリ見返り求めてるじゃん!』
亮平💚『償え💢これは禊だ!見返りじゃない』
お姫様抱っこして寝室に連れて行かれると、ブツブツ文句を言いながら亮平は新しいベットにシーツを掛けた。亮平は優しく俺をベットに横にすると〝大丈夫?やっぱり今日はやめておく?〟なんて言って結局、どこまでも優しかった。
翔太💙『いいよ////俺の全部亮平にあげる////骨の髄までしゃぶって?』
亮平💚『エロッ////』
秋の夜長のハーベストムーンの今夜、無償の愛を亮平に誓って二人繋がった。
翔太💙『お金いっぱい貯めていつかハワイで結婚式あげよう////』
〝何でハワイよ?〟と言った亮平に行ったことないからって言うと〝くだらない理由もっとロマンチックな場所がいい〟と言われて二人でベットに転がり
ロマンチックを探した。
クスクス笑いながら三十過ぎた男が手を繋ぐと二人満月に向かって財布を振った。
亮平💚『早くお金増えろ〜バカらしい』
翔太💙『ふふっ////』
亮平の愛はマリアナ海溝よりも深い・・・
亮平とならどんな深い海の底でも手を取ってついて行くよ。だからこの手を離さないでね。
でもこれだけは2人だけの秘密だな…
仕舞っておくよ涼太
さすがの亮平も許してくれそうにない、、、
涼太❤️『これで最後だから』
一頻り泣いた涼太は優しく俺をベットに横にするとこれで最後だからと唇にキスをすると涼太はこれまでの思いを俺の身体に刻んだ。軋むベットの音が寝室に響き初めて俺の心が涼太を受け入れた。涼太に感じ涼太だけに俺の熱を与えると、2人しばらく繋がったまま手を繋いで横になると終わりを迎えた・・・
翔太💙『さよなら涼太…明日からはただの幼馴染だ』
コメント
7件
苺エプロンもまだだしぃーメイドさんも見たいし🥰🥰💚💙のラブラブお待ちしています🤣🤣🤣
舘様が切なくて泣いちゃう。 しょっぴー💙がその肉体を通して、みんなを開放していく物語なのね🥹🥹🥹と、思いました