テラーノベル
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しばらく歩いて、俺の家に着いた。
阿「着いた…、」
目「会長の家、ここなんだ。結構近いな。」
阿「そうなの?」
目「俺の家、こっから歩いて5分もかからないよ。」
阿「そうなんだ…、」
目黒くんと家が近い。そんな些細な事で、嬉しくなってる自分が居た。
阿「あの、さ、」
目「…?」
阿「うち、寄っていかない?お礼、したいし。」
目「いやいや、お礼なんて。」
阿「俺がしたいだけだから、」
目「じゃあ、お邪魔します。」
…
俺の家に、学年一のイケメンが居る。それは前代未聞の大事件で。まぁ家に入れたのは俺なんだけど。俺はこの後どうするつもりだったんだろう。
阿「目黒くん、お茶。」
目「ありがとう。」
阿「ごめんね、家まで送って貰っちゃって。」
目「いやいや、さっきも言ったでしょ。家近かったし、良いの。」
阿「そっか…、」
目「会長の家、綺麗だね。なんか会長って感じ笑。」
阿「そうかな?…てか、会長ってやめてよ。俺は阿部亮平ね?」
目「確かに…。じゃあ、」
阿「…?」
目「亮平?((ボソッ」
突然顔が近付いて来たと思ったら、耳元で囁いてくる目黒くん。
阿「…///、」
目「嘘嘘、阿部ちゃんで良い?」
阿「う…ん、」
結構満更でもなかったのに。目黒くんは、ドキドキとかしないのかな。
阿「あのッ、お風呂ッ、入れば!?えーっ、と、濡れただろうし!?」
目「亮平の家のお風呂?」
阿「亮平じゃなくて!まぁとにかく!入りなよ!風邪ひかれても困るし…、」
目「照れてる笑、じゃあ、使わせて頂こうかな。」
阿「着替えとか用意しとくから!」
目「ありがとう、」
…
2人ともお風呂から上がって、ソファに並んで座る。
阿「もう遅いよ?大丈夫?親御さん、心配してない?」
目「大丈夫だよ、親、俺の事興味無いから。」
阿「…?」
目「家に居ても、居なくても。話しかけられないし、関わってもこない。住んでる家が同じなだけ。」
阿「そう、だったんだ…、」
目「阿部ちゃんこそ。俺居て大丈夫?」
阿「俺、親居ないから。」
目「え…?」
阿「俺が3歳の時に交通事故で。高校生になってからは施設を出て一人暮らし。」
目「…。」
阿「なんか俺達、似てるね笑、」
目「阿部ちゃん…、」
阿「初絡みなのにこんな話せるの、目黒くんだけだよ笑、」
目「阿部ちゃん…!」
阿「ん?何?」
目「無理して、笑わないで。」
阿「無理、なんか…、」
目「ずっと思ってた。阿部ちゃんって、誰とでも仲良くて、誰とでも距離がある。誰にも心を許してない感じ?まぁ、俺が言える事でもないけど。」
阿「…、」
目「少しは、人を頼って欲しい、って思う。」
阿「俺は…、」
目「阿部ちゃんだって、人間なんだから、さ?」
核心を突かれたような気がした。別に誰かにこの気持ちが気付かれたい訳じゃなかったはずなのに、何故か、暖かい。
…
それからというもの、殆ど毎日目黒くんと帰るようになった。
目黒くんの事も沢山知った。誕生日とか、中学時代とか。部活の事も聞いた。大会前に怪我して、もうサッカーは出来ないって言われたらしい。ずっとサッカーに打ち込んで来て、かつ人と関わるのが得意な方でもなく、クラスで外を眺めるしかする事がないんだって。
ある日、ふと思った。こんなに何でも話せる目黒くんなら、俺がゲイだ、って言っても、これまでと同じように接してくれるんじゃないか、って。
阿「あの、さ…、」
目「どうしたの?」
阿「俺、ずっと言えてない事が、あって…、」
目「…?」
阿「あの、ね…、」
俺は目黒くんに言ってどうするつもりなんだろう。分かって欲しいだけ?共感して欲しいの?…分からない。
阿「えっ、と、」
もし気持ち悪がられたらどうしよう。でも全部知って欲しい。いや、でも…!
阿「…、」
誰かに分かって欲しい。でも嫌われるのは怖い。勇気が出ない。目黒くんとこんなに仲良くなれたのに。目黒くんと居ると、こんなに暖かいのに。
阿「えっ、と…、」
目「…言わなくていいよ。」
阿「えっ?」
目「無理して、言わなくていい。まだ言えないなら、黙ってくれてて良い。俺は、言っても言わなくても絶対に関わり方、変えないから。俺は、阿部ちゃんと一緒に居たくて居るだけだから。」
阿「…。」
目「俺はいつまでも待つよ。阿部ちゃんが言える時で良いよ。」
阿「目黒くん…、」
人と本当に仲良くなるには、自分の全てをさらけ出して心から仲良くなるしかないと思ってた。でも目黒くんは、待ってくれてる。俺を、分かってくれて、寄り添ってくれている。
阿「うん、ありがとう。」
…
佐「ねぇ!阿部ちゃん!」
しばらく経ったある日、業間に本を読んでたら佐久間達に呼ばれた。
阿「…何?」
佐「阿部ちゃんって、やっぱり蓮と仲良いの!?」
阿「えぇ…、急に何…?」
向「いや!最近一緒に帰ってるやろ、見たねん俺!」
ラ「僕も〜!」
渡「しかも目黒、学校の様子からは想像できないくらい笑ってた。」
宮「二度見したよね、」
佐「いや良いんだけどさ!気になるって!」
阿「…まぁ、一緒に帰ってるよ?雨の日にさ、傘入れてもらってから仲良くなって…、」
渡「ふーん、」
阿「いや、何!?」
宮「いや、目黒と話してる時の阿部、すごい楽しそうでさ。」
ラ「好きなのかなって、」
向「皆で話しとってん!」
ドキッ
阿「…好き!?」
佐「どうなの!」
阿「えっ、と…、」
阿「仲良い友達だよ。」
きっと、そうなはず。多分…きっと、
渡「まぁ、そうだよな、」
佐「阿部ちゃんがゲイなわけないか笑!」
阿「そ、そうだよ〜笑!」
そう、俺は…、ゲイじゃなくて…、普通の人。そうじゃないと…、嫌われる。
…
その日の放課後、目黒くんを待っていても一向に来ない。
阿「目黒くん、今日何かあるのかなぁ、」
何も言わずに遅れるなんて事目黒くんはした事ないから少し心配…、
阿「どうしたんだろ…、」
女生徒「好きです!付き合ってください!」
阿「…え?告白?誰が…、」
興味本位で声のする方へ行ってみた。
チラッ
女生徒「お願いします!入学してからずっと、好きだったんです!」
目「えっと…、俺、」
目黒くん…!?やっぱ、モテるんだな…。付き合うのかな。
ズキッ、
なんでこんなに胸が痛いの…?
目「…俺、興味無いから。ごめん、」
女生徒「え…、」
目「ごめん。」
ダッ!
俺は訳も分からず、その場から逃げていた。
コメント
3件


なんと無くお互いの待遇が似ているからなのか 無理維持はしない。 お互いが優しい 告白聞いて確信するかな。 続き気になります。待ってます。
あーもう、3話も一気に胸が締め付けられました…! 「無理して笑わないで」って言われたシーン、あれ本当に核心でしたよね。阿部ちゃんがずっと抱えてきた孤独に、目黒くんがそっと寄り添ってくれた感じがして、私も胸が熱くなりました。 最後の告白の場面で、阿部ちゃんが自分の気持ちに気づきそうになってるところも切なくて…。続きがもう気になって仕方ないです!