テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
「カイ……」
「ん…ミクル…。……俺の本当の名前は、戒斗だ。……そう呼んでほしい」
ふと初対面の場面が思い浮かぶ。あの時には、本名は非公開だからとすげなかった彼が、自ら名前を伝えてくれたことに、胸がキュンとなるのを覚えた。
──カイトが、椅子に片膝をかけて上がり、座ったままの私に身を擦り寄せる。
「…血が滲んでる…ここ……」
彼の指が、切られた傷に触れて、
「痛いか…?」
と、囁いて、滲む血を舐め取るように、濡れた舌を這わせた。
「んっ…」
しっとりとした舌の触感に、痺れるような感覚が襲い、思わずカイトの身体を腕にギュッと強く抱き締める。
彼の腰を抱えるようにして、互いの唇を求め合うと、
「…ミク…舌、入れてもいい…?」
甘い声が、耳の奥を撫でた。
「うん…いい…」
「縛られてたの…痛くないか…?」
カイトの手が、私の手首を撫でさする。
「大丈夫……カイトこそ、痛いんじゃないの…この、手…」
ハンカチを巻いた彼の手を取ると、
「んっ…痛い…でも……ミクと、キス…したい…」
湿った温かな舌が、口の中に差し入れられて、
「ぅん…ミク…」
「…ねぇカイト…少し、キス…うまくなった…?」
受け入れるように、唇をひらくと、
「うん…気持ちよく、させてあげたいから…ミクルのこと……」
舌先がさらに奥へと入り込んで、やわく絡みついた。