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平日の夜
誰もいないオフィスに
みんなが「怖い」と噂してる
課長と二人っきり・・・
課長はあたしの
ミスった伝票を書きなしてくれている
あたし・・・・水沢ゆい・・・・
24歳入社2年目・・・
これといったミスなく今までこれたのに
外注先の発注書をボーっとしてて
書き間違えたの・・・
始末書とミスった伝票・・・
泣きたい・・・
無言のまま・・・
時計の秒針だけが
部屋にこだまする・・・
あたしも必死に
仕事をした
しばらくして
課長が口をひらいた
「11時だ!
セキュリティが閉まる時間だから
帰る準備をしなさいっ!
いそがないと閉じこめられるぞ! 」
「はっ・・・ハイ!」
あたしはあわてて
デスクの上をかたずけた
「何やってるんだ!いそげ! 」
エレベーターなんか使ってられない
早くしなきゃ
オートセキュリティの玄関が
閉じられちゃう!
そうなったら
このオフィスで一晩過ごさなきゃいけないっっ!!
走る
沢田課長の後ろを
必死で着いていった
ガシャーン!!
間一髪で
会社の外に出れた
一斉にビルが真っ暗になった
11時になると
セキュリティがかかるなんて
知らなかった・・・・
課長がいなかったら
あたし一晩真っ暗な中
オフィスで泣いてたかもしれない・・・
そう考えたら怖くなった
「あ・・・あの
課長 ありがとうございました
それじゃ・・・ 」
そういって駅に向かって
歩き出したとき
「何やってんの?
駐車場こっち! 」
「え? 」
「遅いから送って行くよ 」
課長は駐車場に向かって
スタスタ歩き出した
まさか・・・・
送ってくれるなんて・・・・
「家どこ? 」
エンジンをかけた
課長はまっすぐ前を向いて
無表情だった
「あ・・・あの○○駅の近くですっ・・」
会社から二駅の
駅前にあたしのアパートが
あった
あたしは課長の車の助手席に
ちょこんと座り
課長の車の
芳香剤の匂いを肺一杯に
吸った
課長の車・・・・・
すっごい良い匂い・・・
「あ・・・あの課長のおうちって
遠いんですか? 」
「こっから 逆方向で
1時間ぐらい 」
「・・・す・・・
すいません・・・・(>_<) 」
みんなが課長を怖いっていうの
なんとなく分る・・・
なんか・・・この人
威圧感がすごい・・・
お互い無言のまま
しばらく沈黙が流れて
あたしはとても気まずい
気持ちになっていた
やっぱり 送ってもらわない方が
よかったかな・・・・(>_<)
「ここでいい? 」
気付くとあたしの家の駅前に
到着していた
「は・・・ハイっ!(>_<)
ありがとうございましたっ!! 」
さっさと降りて
この緊張感から解放されたいっ!
すばやく降りようとしたとき
「始末書! 」
「え? 」
あたしは振り返って
ドキリとした
だって課長が笑っていたから
フッ
「・・・あれは よく出来てた
先方に対してとても丁寧な文章だった
今度から先方の発注書ロット高いヤツは
先に俺に見せろ 」
か・・・課長・・・
笑ってる・・・
その時
ポーンとあたしの手の平に
何かが投げられた
偶然上手くキャッチした
掴んだものを見つめた
「フリスク・・・・ 」
フッ「明日遅刻するなよっwww 」
あ・・・また
笑った・・・・・・
渡されたフリスクを握りしめて
課長の車を見送った・・・
車のテイルランプが
小さくなって見えなくなっても
あたしは何故か
そこを動けなくて・・・・・
今思えば・・・・
あの時
もうすでに
あの課長の笑顔に
恋していたのかもしれない・・・・・・
:*゚..:。:.
.:*゚:.。