「しにたい」
君はそう言っていた。
君は注射器を持って言ってたっけ
君と初対面だった僕は
混乱して
とりあえず
「なんで?」
と理由を聞いてみた。
君は
「█████████████████████」
って
言ってたけ
「しにたい」
そう君は君と出会って1年位で
僕の家のベランダの仕切りの上に立って
君はもう一度言った
「死んでみなよ」
僕はそう言ってみた。
けど君は
「寒くなってきたね。
帰ろうか。」
って言って
部屋に入ってった
「一緒に死のう」
って今度は君は僕も一緒に死なないか誘ってきた。
寒くてたまらない冬の夜に半袖半ズボンで裸足の君は
屋上のフェンスの上に立ってそういった。
僕は
「そっか。」
って素っ気なく返した。
君は死なないって知ってたから。
今度も君は死ななかった。
僕は君が毎回12月の31日に聞くことを知っていた。
だから今回はなんと言ってくるか少し楽しみのような不安のような感情を持っていた。
その日は毎年特別にしたくて
君と海に行こうとしていたんだ。
だけど君は待ち合わせの時間に
何時間経ってもこなくて
連絡をしても
既読すらしなくて
不安になって君の家まで走っていった
そしたら君はいなくて
もっと
走って
それでもいなくて
まだいなくて
もっと
もっと
もっと
って走った
それでも君はいなかった。
それからも君はいなくて
前まで色鮮やかだったはずだったのに
全てが灰色
つまらなくなった
それから僕は
つまらない高校を卒業して
つまらない会社に入って
つまらない人生を過ごした
××××年1月2日
僕はその日も会社に行っていた。
年末年始だからかそこらは賑やかで
その中1人ぽつんと上司におしつけられた仕事をこなしに会社へ行く僕。
これが人生を楽しんでる人と楽しんでない僕との大きな差なのか。
それともこんなに日に会社に行くせいで僕は人生を楽しんでいないのか。
いや。
何があれ僕は人生は楽しんでいない
面倒くさがりで馬鹿な僕だからこうなるんだろうな
なんてそんな僕自身への愚痴みたいなのを少し思い浮かべて直ぐに辞めた。
目の前の駅に着いたからだ。
そのまま入って駅のコンビニで水をレジに置く
そしたら定員が少し面倒くさそうにこちらへ来て
「袋入りますか?まあ、いんねえか。さーせん」
と何故か僕に聞いたのに自己解決して水にシールを貼って渡してきた。
礼を言い,スタスタと歩いてコンビニから出ていくと
「あざしたー」
さっきの定員が言っていた。
まあ年末年始だから仕事はしたくないよな。
と少し共感を持ちながら変わらない速度でスタスタ歩いてホームに着く
電車が来る時刻と今の時刻を確認し
もうすぐ来ると思い座らずに立って待っていると
高校生くらいの帽子を深く被ってマスクをしている少女が少しふらついて歩いてきた
きっと体調でも悪いのだろう
ここはホームドア(柵のようなものです)がまだ設置されていないくら位田舎なので落ちたら危ないなと少しひやひやして少女を見ていた
しかし予想どうりにはならなくて
ほっとしていると少女の後ろに男性が立ってきた
少し嫌な予感がした
すると案の定男性は少女を押して線路に突き飛ばした
僕は咄嗟に走っていて
少女の腕を掴んでぐっとこちらに引き寄せて
ホームに少女を守るように倒れ込む
男は走って逃げていてとっくにおらず,ホームには僕と少女だけ。
とりあえず僕は少女の足を持って横抱き(お姫様抱っこ的なもの)をして椅子に寝転がせる
どうやらさっきの衝撃でもっと体調が悪くなっているそうだ。
僕はさっき買った口のつけていないペットボトルを渡して彼女の隣に座った
すると少女が話しかけてきた
「助けてくれて……ありがとう」
と無理をしながら途切れ途切れに言った
「何故ここに?」
とさっきまで少し抱いていた疑問をぶつける
何故ならば彼女が来ていた制服は
この県の高校では無いはずだからだ。
「少し海に行きたくて……××県から来たの」
と何故ここに来たかの理由を言う
というか××県とは3個ほど県が離れたところだ
高校生にしては随分遠いところに来たのだなと少し関心を持ちながら話の続きを楽しみが少し混じりながら聞く
「それで…体調が悪くなって……多分風邪」
と自分でも理解しているのだとびっくりし
それでも海に行きたかったのだと関心を持つ
きっと××県にも海はあるがきっとそれほどの思い出がその海に詰まっているのだろう。
「風邪だからマスクしていたのか?」
と次に疑問をぶつける
「ううん。マスクは人に顔見られたくなかっただけ」
と昔いなくなってしまった君を思い出した。
同じようなことを言っていたから。、
でも顔を見られたくないからマスクをするっていうのは珍しいことでは無いからと自分を少し納得させた。
何故こんなにも混乱しているかは,
多分この少女が君の声に似ていたからだと思う。
その後楽になった様子の彼女を連れて彼女が泊まっているという宿へ一緒に向かうことになった。
いやなんで僕も
まあそれは思った。
でも心配もあったので一応ついて行った。
ちらっと見ると彼女はマスクも帽子も取っていることに気づく。
横からだとよく見えなかった。
近くの公園のようなところまで着いたところで
「ブランコに乗りたい!!」
という幼稚な要望を叶えてあげていると
彼女がブランコの板の上に立って遊んでいた
危ないなあ……なんて思っていると
案の定彼女が転んで僕の上に飛んできて2人で倒れ込む
「わっ……ごめん……ってえ、?」
彼女が驚いたのは当然だと思う。
この時僕は彼女の顔を見て
君と似ていると気づいて
泣いていたから