テラーノベル
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すたーと!
放課後。
校庭には、やわらかな夕日の光が広がっていた。
翔太はフェンスにもたれながら、空を見上げている。
青い空。白い雲。オレンジの夕日。
まだ完全ではないけれど、確かに色が見えている。
「……ほんとに、見えてるんだな」
小さく呟く。
その隣で、阿部が笑った。
「だから言ったでしょ。翔太にも光はあるって」
翔太は少し照れたように視線を逸らす。
「……阿部のおかげだけどな」
その瞬間だった。
「っ……!」
急に胸が締め付けられるように痛んだ。
視界がぐらりと揺れる。
「翔太!?」
阿部が慌てて支える。
翔太の足から力が抜け、その場に崩れ落ちそうになる。
「……なんで……」
翔太の視界が、ゆっくりと暗くなっていく。
さっきまで見えていた色が、少しずつ消えていく。
青い空が灰色に。
夕日が白黒に。
「……嘘だろ」
翔太の声が震える。
「戻るのかよ……また……」
阿部は翔太の肩を強く抱き寄せた。
「大丈夫!」
「まだ消えてない!」
翔太は首を振る。
「見えなくなる……」
声が弱い。
息も浅くなっていた。
阿部の胸の奥が、ぎゅっと痛む。
今までずっと穏やかだった彼の表情が、初めて崩れた。
「翔太、聞いて」
阿部は翔太の顔を両手で包む。
「俺を見るんだ」
翔太の視界はぼやけている。
でも、阿部の声だけははっきり聞こえる。
「翔太の光は消えない」
「もし消えそうになっても――」
阿部は、ぎゅっと翔太を抱きしめた。
「俺が守る」
その瞬間、翔太の心臓が強く打った。
暗くなりかけた世界の中で、
阿部だけが、はっきりとした光を放っていた。
「……阿部」
かすれた声で名前を呼ぶ。
翔太は気づいた。
自分の光は、
もう一人じゃないことに。
夕日の光が、二人を包む。
揺れながらも、その光は――まだ消えていなかった。
🌙 × 💙
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