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私
の名前は美樹(みき)。普通の女子高校生だ。今は夏休みなので友達と一緒にプールに来ている。
「ねぇ美樹ちゃん!こっち来てよ!」
今私の目の前にいるのは同じクラスの仲良しグループの1人でもある愛菜(まな)ちゃんだ。今日はいつもよりテンションが高い気がするけど、きっと夏の暑さのせいでもあるだろう。
ちなみに愛菜ちゃん以外にもあと3人いるのだが、その人たちはみんな水着だ! つまり愛菜ちゃんだけビキニじゃない……。
「うぅん? なんか今変なこと考えてなかった?」
「えっ!? べ、別になんもないよ!」
愛菜ちゃん鋭いなぁ……。
俺はなんとか誤魔化してから、改めてプールを見渡してみた。
俺以外の4人は楽しげに泳いだり、浮き輪に乗ってプカプカ浮いたりしているけど……やっぱり1人だけ違う。
「あ〜もう! せっかくの海なのにぃ!!」
砂浜の上で、私は手足を思い切り伸ばして叫んだ。
私の名前は、香坂真尋(こうさかまゆ)。今年高校二年生になったばかりの十七歳だ。ちなみに彼氏いない歴=年齢でもある。友達からは「もっと積極的になれ!」なんて言われてるけど……うぅっ。だって男の子ってちょっと怖いんだもん。だからこうして、いつも一人で海に来ているわけだけど――
「やっぱり、みんなと一緒に来ればよかったかなぁ?」
真夏の太陽が照らす青い空を見上げながら、そう独り言ちる。
「それじゃダメだよぉ」
不意に声をかけられて振り返ると、そこには一人の少女がいた。
年齢は十代半ばぐらいだろうか? 長い黒髪が特徴的な美少女だ。
「あなた、どうしてこんなところで泣いているの?」
彼女はそう言って首を傾げる。
その言葉を聞いた僕は、自分が涙を流していたことに気づいた。……いつの間に泣いたんだろう? 自分でもよくわからない。
そもそも僕には泣くような理由がないはずだ。
なのになぜ涙なんか――。
「私でよかったら話してみてくれないかな?」
彼女は優しい口調で言う。
その姿を見た瞬間、僕の目から再び涙が流れ始めた。目の前に現れたのは、僕がよく知っている少女だったからだ。
僕は慌てて彼女の方に駆け寄り、その身体を強く抱きしめた。
「……っ!」
彼女は驚いた様子だったが、すぐに僕の背中へと腕を伸ばしてきた。
お互い何も言わずに抱き合い続ける中、ふとあることに気付いた。
あれだけ荒れ狂っていた周囲の空気が静まり返っているのだ。まるで嵐の前のような不気味な沈黙の中、僕達はそのままの状態でいた。
しばらくして彼女がそっと離れると、僕の方をじっと見つめながら口を開いた。
「久しぶりね。まさかこんな形で再会するなんて思ってなかったけど」
「あぁ、本当にな」
「どうして貴方がいるのかしら? ここは私達以外立ち入り禁止よ?」
「それはこっちの台詞だ! お前こそなんでここにいるんだよ!?」
「私は別にいいじゃない。それで、どうやって入ったの?」
「普通に入っただけだぞ」