テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
#イケメン
蒼乃 月
327
394
瑠璃マリコ
16,590
「楽しかったね」
「はい」
観覧車を降りた二人はそのまま出口へと向かう。
「遊園地ってさ、来た時は凄くワクワクしてて楽しいけど、帰る時は凄く淋しい気持ちになるよね」
「ですね。楽しかった分、淋しい気持ちも大きいのかも」
そして外へ出た二人はそのまま車まで歩いて行き車へ乗り込んだ。
普段のデートならばこの後は自宅へ帰る流れなのだが、今日は違う。
「それじゃあホテルへ向かいますね」
「う、うん、お願いします」
朝陽は車のエンジンをかけると、そのまま車を走らせた。
パークの駐車場を出ると、すぐ側にあるホテルへ向かい、その敷地へ入って行く。
「え? ホテルって、ここ?」
亜佑美が驚くのも無理は無い。
ここはパークと提携しているホテルで、他よりも値段は高いし急遽決めて予約が取れるか分からないところだから。
「予約サイトを見たらたまたま空いてて、折角ならって予約しちゃいました」
「そうなの? でも凄いラッキーだね! 一度泊まってみたかったから嬉しい!」
車を停めると朝陽はトランクから二人分の荷物を取り出して運んでいく。
「朝陽くん、自分で持つから大丈夫だよ?」
「これくらいどうってことないですから、気にしないでください。さ、行きましょう」
「ありがとう……」
エントランスへ向かうとホテルの従業員が荷物を受け取ってくれたので、朝陽はそのまま受付へと向かって行った。
その間亜佑美はソファーに座って待っていたのだけど、内心かなり緊張していた。
(いよいよ、朝陽くんとお泊まり……)
昼間は全力で楽しんでいた分、改めて考えるとただただ緊張する。
(初めてじゃないけど、初めてみたいな感覚……)
鼓動が騒がしく、どこか落ち着かない亜佑美の元へ、
「お待たせしました! 行きましょう!」
受付を済ませた朝陽が戻って来て、二人はエレベーターで部屋へ向かうことに。
荷物は先に部屋へ届けてもらえるようで、二人だけでエレベーターに乗り込み朝陽が階数のボタンを押す。
「え? 最上階!?」
朝陽が押したのは客室エリアの最上階で、それが何を意味するのかを考えた亜佑美は驚いて大きな声を上げてしまった。
「はい、折角なので、奮発しちゃいました。亜佑美さんと初めての旅行……ですから」
そう照れながら笑う朝陽に亜佑美の胸はキュンと鳴った。
部屋の前までやって来た二人は顔を見合わせて小さく頷き合い、朝陽がカードキーをかざしてゆっくりとドアを開けた瞬間――
「……わぁ」
亜佑美の口から感嘆の声が漏れる。
目の前に広がっていたのは、思わず息を呑む程美しい空間だった。
スイートルームではないものの、それに引けを取らないほど広々とした客室。
落ち着いた色合いで統一されたインテリアは上品で高級感に溢れ、柔らかな間接照明が室内を照らしている。
窓際にはゆったりとしたソファーが置かれ、その向こうには街の夜景が一望できた。
「凄い……」
亜佑美は思わず窓辺へ歩み寄る。
キングサイズの大きなベッドにガラス張りのシャワーブースに広々としたバスタブ。
並べられたアメニティも充実している。
「こんな素敵な部屋に泊まれるなんて思いもしなかった!」
振り返った亜佑美の表情は子供のように輝いていて、そんな彼女を見て朝陽も自然と笑みを浮かべた。
「俺もです。こんな立派な部屋、初めてで感動してます」
二人は暫く室内を見て回ると、その贅沢な空間を存分に堪能した。
やがて朝陽がバスルームを覗き込みながら言う。
「とりあえず、お風呂に入りますか?」
「そうだね」
「お湯張りますね」
「うん、ありがとう」
そして、どちらが先に入るかという話になり朝陽としては亜佑美が先の方が良いかと思ったものの、亜佑美は時間が掛かるのは申し訳無いからと朝陽から入ることに。
バスルームの扉が閉まった瞬間、亜佑美はふぅっと息を吐いた。
(お風呂が終わったら……いよいよ……)
ドキドキと高鳴る鼓動は落ち着かず、とにかく何かをして気を紛らわせようと朝陽が入っている間にバスルームへ持っていく物を再確認。
下着やスキンケア用品など一つずつ丁寧に纏めていく。
(変に意識しちゃ駄目……)
そう思えば思う程に緊張は増していく。
そうこうしているうちにバスルームのドアが開いた。
「お待たせしました」
髪を軽く拭きながら出てきたバスローブ姿の朝陽を前に、亜佑美は慌てて立ち上がる。
「あ、じゃ、じゃあ私も入って来るね」
「はい。ごゆっくり」
互いに少しだけぎこちなく笑顔を交わし、今度は亜佑美がバスルームへ向かった。
コメント
2件
わああ第37話、ついに二人でお泊まりデートのところまできたね…!😭💕 遊園地デートの余韻からホテルに向かうシーン、亜佑美の緊張が手に取るように伝わってきてこっちまでドキドキしたよ!最上階の部屋に驚く亜佑美と、照れながら「奮発しちゃいました」って言う朝陽くんのギャップが尊すぎて悶えた…🥺💖 二人ともお互いを思いやる感じが本当に素敵で、この先どうなるのか続きが気になりすぎる!!✨