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離婚します 第二部

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離婚します 第二部

46 - 第46話 綾菜の場合(20)

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2024年11月05日

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週末、翔太と健二と3人で実家へ行った。


「いらっしゃい!しょうちゃん、待ってたよー」

「ばぁば、きたよ。じぃじもいる?」

「じぃじね、美味しいご飯作ってるよ」

「あ、お母さん、これ、ケーキ焼いてきた、味は保証しないけど」

「お邪魔します」


ダイニングへ行くと、テーブルにはお寿司とサラダと、簡単なおつまみが並んでいた。


「あとは、俺特製のけんちん汁。もう出来上がるから座ってて」


お義父さんがまた料理をおぼえたらしい。

ビールも出して和やかにお祝いの宴が始まった。


「やっぱりさ、ここは乾杯だよね?」


お義父さんが言う。


「そうだね、じゃあ…綾菜と健二君、結婚記念日おめでとう!末永く幸せにね」


お母さんが乾杯の音頭を取る。


「お母さんと進さん、離婚おめでとう!これからはそれぞれ好きなことして元気に生きてってね」

「あはは、ありがとう」

「うん、ありがとう」

「離婚おめでとうって、変ですよね?」


健二が言う。


「もめずに離婚なんて、おめでたいよ」


私が答える。


「そうよ、浮気!とかじゃないから揉めないんだよ」


お母さんは、わざと浮気を強調してるような気がする。

釘を刺してるのかも。

健二の顔色がちょっと変わった気がしたけど、すぐに戻った。


「これ、美味しいですね。お義父さんが作ったんですか?」

「そうよ、健二君も料理してみたら?」


お母さんが健二に言う。


「え?いやぁ…仕事、忙しいんでちょっと」

「いまからおぼえとけば後々助かるよ、たとえば…」

「え?なんですか」

「離婚したときとか…」

「ぶっ!は?え?なんで…」


ビールを吹き出した健二。

慌ててティッシュを取る。


「いやぁだ、どうしたの?健二、こぼしちゃって」

「あ、慌てて食ったから、なんでもないよ」

「私が、健二君も料理したら?いつか離婚した時に助かるよって言ったんだけどね」

「離婚?私と健二が?ないないない」


ここでは、否定しておく。

まだ何もハッキリしていないから。

そうだ、ここでメモリーのことを話してみよう。


「あーっ!!そういえば!」

「びっくりした、何、綾菜、突然大きな声を出して!」

「結婚記念日のサプライズ、どうなった?」

「え?何か約束したっけ?」


少々慌てた様子の健二。


「違う、私がサプライズを仕掛けたんだけど。健二が何も言ってこないってことは、まだ見てないってこと?」

「なんのこと?」

「あ、今日は仕事用のパソコンバッグ持ってないか」

「持ってないよ、さすがに。パソコンがどうかしたの?」

「でも言ってしまうと、サプライズじゃないしなぁ…」

「言われないとわからないかもしれないよ」


やっぱり見てないんだ。


「あのさ、健二がいつも使ってる仕事用のメモリー、あるでしょ?こう、なんかこれくらいの、パソコンに刺して使うヤツ」

「あぁ、フラッシュメモリー?」

「それ!最近、一個増えてなかった?」

「え?」

「いや、気づかなかったけど…」


結局、この日、あの赤いフラッシュメモリーの行方はわからなかった。

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