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しかし私達の考えは甘かった。

結婚して二年目の春になったが妊娠しない。生理が来るたびにため息が出る。

「……梨花ちゃん」

浮かない顔をしちゃダメだって思っててもすぐ顔に出てしまう私の顔を覗き込んで謙太はいつもの笑顔を浮かべた。だがその笑顔に応えられるものではなかった。


「生理きちゃった」

そう言うと謙太は少し間をあけて眉を下げた。

「……そうか……体休めて。まずは」

「ありがとう」


そうよね、先ずは体をいたわらないと。ロボット掃除機に食洗器、乾燥機付きのランドリー。互いの仕事もあるから家事分担と言っても揉めることがあると義父が率先して買いそろえてくれた。

その際に

「仕事もだけどそこに育児も加わるとなおさら大変よ」

と付け足していうものだからやはり義父はやはり私達の子供を望んでいるのだろう。もう他にも孫もいるけども謙太は長男だしすごく可愛がられているし当然だろう。


おかげで仕事で疲れても家事の軽減はできている。それに家事も謙太はある程度できるから自然と分担が出来ていて不満も言わずにやってくれている彼には本当に感謝しかないのだ。


セックスに関しては私は無ければいいとは思っていたもののやはりこうも子供が出来ないとなると受け入れる回数を増やそう、と努力した。謙太から誘われて数回に一回は断ってたけどここのところは全て応じた。

だがそのたびに心が軋む。別に謙太が嫌いなわけじゃない。でも気持ち的にはどこかしら嫌なのだ。この行為が。でも子供を、謙太との子供をと思うと……。


それに本でも読んだのだがタイミングと言うのもあって回数をむやみに増やしてもだめな場合もあるらしい。でも数打てば当たる、って勝手に思っていた私。あぁ、そんなのわかっていたら数を増やさなかったし。

何だか最近応えるようにしたからなのか謙太もちょっとすぐムラっと来ているのが分かってしまう。


子を持つ同僚が

「そろそろ病院に行った方がいいよ」

と言ってくれたのだが謙太にもそれを話すと

「今はきっとまだタイミング的にその時期じゃないかもしれないよ」

だなんて。

確かに私も仕事が軌道に乗って課長からすごく期待されたり、さらに新システムや企画のチームリーダーになったりもして。

一回、生理痛を我慢して具合が悪くなって迷惑かけたこともあったからなおさら妊娠、育児で穴をあけてしまったらと思うとそうか、今はそんな時期じゃないんだって納得したけど。


「もう20代も最後よ。このくらいの時期で第二子生む子だっているんだから」

と一人目を30代で出産した不妊治療経験のある義理の姉からはっぱをかけられる。彼女は悪気があっていっているわけではない。彼女も相手の親から相当のプレッシャーがあったとつらい体験談を酒に酔うと語ってくれたものだが同級生も結婚して子供が二人目三人目と聞くと一人目もまだな私は焦ってしまう。


一人っ子は自分自身もそうだったがやはり兄弟は欲しかった。

だからもう一人となるとすぐ妊娠出産したいものではあるが難しいし。

0歳児を預けて仕事して、でもしょっちゅう風邪をひいて中抜けする同僚を見ているものだから仕事にならない。

四年位開けて子供が幼稚園に入ったら妊娠、出産で35歳……出産するにも高齢出産でリスクも高い。それで体調を悪くして職場復帰できなかった先輩も知っている。


「謙太は……子供何人欲しい?」

聞いてみると、しばらく考えてから彼はいつものように微笑んで

「うーん、欲は言わないよ。でも一人、必ず一人は欲しいよね」

と言った。彼は私よりも二歳上。子供が成人になってもまだ現役だがもし二人目、私が35歳で出産したら二人目の子が成人になるともしかしたら謙太は早期退職しているのかもしれない。そうでなくてもある一定の年齢に達すると給与もどうなるかわからないと言っていた。

子供はやはり大学に通わせたい、二人で以前そう語ってはいた。私達も大卒だから。あぁ、お金……もっと私も働かないと。子供の学費、その為にも働かなきゃ。


「私たち悠長なこと言わずにすぐ子供作ればよかった」

ついそう口から出してしまった。私はネガティブだから……。


「……梨花ちゃん、まずは落ち着こう」

そんなネガティブな私を救ってくれるのがいつもポジティブな謙太なのだ。

だがこればかりはもうだめだ。涙がボロボロ出てくる。落ち着いている場合ではない。


謙太はいい、自分は気持ちよくなって出すだけだから。私は入れられるその感覚が嫌だ。

ってそんなこと言えば楽になるのかな。

そんなこと言っても謙太はいつものように微笑んでくれるのだろうか。ふと彼の顔を見た。少し悲しげな顔をしている。


こんな顔を見るのは初めて。私はその顔を見てさらに涙が止まらなくなった。

「梨花ちゃん」

と謙太が思いっきり抱きしめてくれた。


私はその温もりを感じて幸せを少しずつ満たしていってその夜もその流れで彼に抱かれた。

あなたはそうやっていつも微笑んでいた〜タイムループで夫がクズ認定された件〜

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