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ゆゆゆゆ
「……待たない」
エリオットのその一言は、小さかった。
でも。
はっきりしていた。
次の瞬間――
エリオットの方から距離を詰める。
迷いはない。
さっきまでの戸惑いも、混乱も。
全部どこかに置いてきたみたいに。
チャンスの目がわずかに揺れる。
ほんの一瞬だけ。
その隙を、エリオットは見逃さない。
触れる。
今度は、自分から。
静かに重なる唇。
最初はやわらかく。
確かめるみたいに。
でも――
すぐに、深くなる。
さっきまで「どうしたらいい」なんて言ってたのに。
今はもう考えてない。
ただ。
触れていたい。
離れたくない。
それだけで動いている。
エリオットの手がチャンスの服を掴む。
少し強く。
逃げられないように、じゃない。
自分が離れないように。
チャンスの手も、自然にエリオットに触れる。
背中に回る。
引き寄せる。
どっちが主導か、もう分からない。
キスは途切れない。
呼吸も混ざる。
距離が曖昧になる。
さっきまであった“間”が、全部消えていく。
エリオットの思考は、もうほとんど動いていない。
ただ。
胸がいっぱいで。
苦しいくらいで。
それでも離れたくなくて。
チャンスの存在だけが、やけに鮮明で。
それ以外はどうでもよくなる。
「……エリオット」
名前を呼ばれる。
すぐ近くで。
でも。
それすら、溶けていく。
もう一度、触れる。
今度はもっと自然に。
当たり前みたいに。
距離が“なくなる”感覚。
境界が曖昧になる。
どこまでが自分で、どこからが相手か。
分からなくなるくらい。
エリオットは、ほんの少しだけ目を閉じる。
考えるのをやめる。
そのまま、身を預ける。
チャンスも、もう止めない。
抑えていたものも。
理性も。
全部、ほどけていく。
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