テラーノベル
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設定;会社員💛💙【全9話】
💛「今日からこの部署で働くことになった渡辺だ。挨拶を」
💙「渡辺翔太です。よろしくお願いします」
ぱちぱち、と拍手が広がる。
視線の先にいるのは——
岩本照。
高校時代の同級生。
……いつの間に、課長なんかになってるんだ。
昔から気に入らなかった。
何でもできて、
努力すら見せない顔をして。
完璧なあいつに。
俺はずっと、嫉妬していたのかもしれない。
無意識に睨む。
一瞬、目が合う。
——逸らしたのは、俺のほうだった。
──────────────
この部署に異動してから数日が経つーー
~渡辺の歓迎会~
愛想笑いを続けて、頬が痛い。
女性社員A
「岩本課長ってほんとかっこいいよね!」
女性社員B
「同級生だったんでしょ?高校の頃どうだったの?」
💙「あー……まぁ、今とあんま変わんないっす」
曖昧に流す。
女子社員C
「でもさー、噂すごいよね?」
女子社員A
「三股してるとか!」
女子社員B
「◯◯くんとできてるんじゃないかとか!」
💙(好き勝手言うなよ……)
💙(人気者も大変だな)
グラスを口に運ぶ。
そのとき。
——視線。
さっきから、ずっと。
見なくても分かる。
岩本が、俺を見ている。
なぜか、落ち着かない。
──────────────
飲み会も終盤。
店の外は、少し冷えた夜風。
💛「渡辺。少しいいか」
💙「……はい」
店の裏手。人目のない場所。
向かい合う。
💛「単刀直入に言う」
一切、表情を崩さない。
💛「俺と付き合ってくれ」
💙「は?」
💛「……正確には、付き合ってる“ふり”をしてほしい」
💙「はぁ?」
頭が追いつかない。
💛「噂、聞いただろ」
💛「正直、仕事に支障が出てる」
💛「これ以上広がる前に、止めたい」
💙「それで俺?」
💛「……」
#さくなべ
一瞬、視線が揺れる。
💛「お前だから頼みたい」
💙「どういう意味だよ」
💛「……」
💛「噂が落ち着くまででいい」
そして——
深く、頭を下げる。
課長が、部下に。
💙「……」
簡単に断れなくなるだろ、そんなの。
💙「……少し、考えさせてくれ」
💛「ああ」
それだけ言って、岩本は戻っていった。
──────────────
──渡辺の部屋。
スーツを脱ぎ、ソファに沈む。
💙「…はぁ、」
なんなんだ、あいつ。
他に頼める奴なんていくらでもいるだろ。
それなのに。
「お前だから」?
意味分かんねぇ。
……いや。
分かりたくないだけか。
とりあえず、引き受けるだけ引き受けるか。
どうせ期間限定。
ビジネスだ、ビジネス。
……謝礼くらい出るのか?
小さく笑って、すぐ真顔に戻る。
胸の奥が、妙にざわついている。
嫉妬してたはずなのに。
なんだこれは。
つづく。
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