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校庭に戻ると、授業はまだ続いていた。
デュースは何も言わずに走り出す。
残り五周。
走り終えると、すぐにバルガス先生の前へ。
「エースが倒れました!高熱です!」
簡潔に報告すると、バルガスは一瞬眉を上げ、すぐに頷いた。
「む、分かった。後は任せろ」
その言葉を聞いた瞬間、安心で全身の力が抜けそうになった。
授業後、真っ先に保健室へ向かう。
扉を開けると、クルーウェルがいた。
氷嚢を取り替え、エースの様子を確認している。
「先生、エースはどうですか?」
「高熱だが、意識は戻りかけている」
そう言って、クルーウェルはデュースを見る。
「次の授業があるから、悪いが俺はここで抜ける。」
クルーウェルが去ると、室内は静かになった。
エースは目を覚ましていた。
虚ろな視線で、天井を見つめている。
「……エース」
声を掛けると、ゆっくりこちらを見た。
恥ずかしそうで、申し訳なさそうで、弱っている顔。
その姿を見た瞬間、張り詰めていたものが切れた。
「なんで早く言わなかったんだ!」
声が大きくなったのが、自分でも分かった。
「朝からずっとおかしかっただろ?!
心配だったんだぞ!」
エースがびくっと肩を震わせる。
「……うるっ、さい……」
その直後、エースは顔を歪めた。
頭を押さえ、涙が溢れる。
怒鳴り声が、頭に響いたのだ。
「……っ、ごめん!」
デュースは慌てて声を落とす。
「悪かった、怒るつもりじゃ……」
「……も、ぅ帰れ……」
か細い声だった。
でも、はっきりと拒絶された。
デュースは何も言えず、保健室を出た。
胸の奥に、重いものを残したまま。