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〜流川楓side 〜
横からのうめき声で目が覚めた。
声を出していたのはあどほうだった。
そうだ、晩ご飯の後、たまたまこいつの部屋の前の廊下を歩いていたときにどあほうの親友が出てきて、スポドリを買いに行く間、どあほうを看ていてほしいと頼まれたんだった。
「洋平…なんか苦しいかもっ…。」
俺はテメーのダチじゃねー。
普段ならそう言うのに、体調悪そうにしているコイツを見ると、そんな冷たい言葉はかけられなかった。
どあほうが、今日一日バスケがお預けになった手を持て余すように俺の手を握り、自分の額の上まで持ってくる。
熱い。
でも、他人の看病とかしたことないから、どうしたらいいか分かんねー。
ガチャ
ドアノブの音が鳴り、ヤツの言う“よーへー”が帰ってきた。
「ごめんごめん、流川。花道、スポドリ、買ってきたから。」
どあほうを手際よく看病し、そのまま寝かしつける様子をただ見ていた俺は、知らぬ間に“よーへー”に話しかけていた。
「よーへー。」
「えっ?」
「お前、よーへーじゃねえの?」
「ああ、洋平だけど。」
驚いたような、苦笑しているような顔でこっちを見てきたから、なんか間違えた気になる。
「なんでバスケ部入んねーの?」
「なんでって。俺、背高くないし。喧嘩以外スポーツやったことないし。」
喧嘩はスポーツじゃねー。
「背が低くても、宮城先輩くらいにはなれる。」
「えぇ…まあ。なんでそんなこと聞こうと思ったの?」
「いっつも見学に来てる。バスケ、好きなんじゃねーの。」
よーへーはキョトンとした顔をした後、少し嬉しそうな顔をした。
「ああ…。俺は、ただバスケが好きと言うより、花道がしてるバスケが好きだから。」
「よく分かんねー。」
よーへーが苦笑いした後、どあほうがモゾモゾと動き出した。
花道が起きて絡まれる前に、早く帰んなと促されるように部屋を出て、体育館に行く。
「肘が開いてんぞ〜。」
ガコッ
リングにボールが弾かれる音がする。
「ああーー!もうちょっと奥!」
体育館ではすでに三井先輩と宮城先輩がジャンプシュートの練習をしていた。
「自分で言うの嫌なんすけど、俺チビだから、ジャンプシュートするときは人一倍高く飛んで、人一倍遠くに投げなきゃいけなんですよ。」
「チビは大変そうだなぁ。」
「なんかムカつく。」
二人の会話を横目に聞きながら、落ちてあるボールを拾い、ドリブルを始める。
ダムッダムッ
この前の陵南との練習試合の仙道の動きを思い出して、あいつが目の前にいると思って攻撃をする。
ボールをついていない方の手を使って、相手からボールを遠ざける。
スピードを落とさず自然にフェイクを入れる。
県大会まで後一週間と少し。
今度はどあほうとダブルチームとかじゃなく、一対一で仙道に勝つ。
そして、インハイが終わったら、
俺はアメリカに行く。