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いろんなものでドロドロになったトラゾーを綺麗にして、シーツを貼り替えたベッドに寝かす。


あれからどのくらい経ったか分からないけど、かなりの時間は経過していた。

体力を限界まで使ったトラゾーは気絶するように眠っている。


「はー…」


「ぺいんと大丈夫か?」


「大丈夫っす。クロノアさんこそ」


「俺も大丈夫。…大丈夫じゃないのはトラゾーだけかな。明日はずっと寝てなきゃいけないかもね」


クロノアさんがすやすやと眠るトラゾーの頭を撫でる。


「確かに」


身体のあちこちには傷跡を塗り替えるように俺らのつけた印が付いている。

それは、独占とも執着とも所有とも言える印で。

色濃く、消えることさえ許さない程に。


「起きたらトラゾー怒るかなぁ」


「まぁ、怒るってか拗ねる?トラゾーって俺ら身内にはめちゃくちゃ甘いですし。仕方ないな、って許してくれるじゃないですか」


「あーね」


寝顔は幼く、先ほどの姿とはかけ離れている。


と、ピピッと俺とクロノアさんの通信機が鳴った。


『……トラゾーさんは無事ですかー?』


「俺らの隣で寝てる。多分しばらくは起きねぇと思う」


『あらら。まぁ、お二人の相手をしたのなら仕方ないですかな』


「それで、何かあったの?」


『…お楽しみの後で申し訳ないんですが、特定できましたよ』


その言葉に俺らの顔が無になる。


『トラゾーさん大好きな人たちに事情をかい摘んで話たらすごい速さで協力してくれて。そのおかげですぐに情報集まりました。皆さんもブチギレでしたよ』


想像するのも容易い。


「だろうな。こいつ友達多いし」


「うん、だね」


『お二人の端末にそいつらの情報送りましたんで確認しといて下さい』


クロノアさんが端末の画面を開き送られたファイルの確認をしている。


「16人……」


底冷えするような声に、その16人は終わったなと他人事に思った。

実際、他人だし、殺すことは決定事項だ。

何より総統の意思だし。


『あ、そうそう。らっだぁさんがすでに5人くらい捕縛してるみたいですよー。あの人トラゾーさん大好きすぎでしょ』


「仕事が早ぇな……まぁ、らっだぁならやると思ってたわ」


『で、伝言を預かってます』


「何?」


『「簡単には殺したくないから、青鬼使って色々するなぁ」だそうです』


何度か見たことあるけど、あの多種多様の化け物使うとなると本気具合が見て取れる。


「青鬼使うってガチじゃん」


「トラゾーガチ勢のらっだぁさん怒らせたからね」


「あいつサイコパスだからな」


あんな優しい顔してやることエグい。


「じゃあ、俺らも行きますか」


「そうですね。マジで生きてる方が地獄だって思わせてやる」


「死んだ方がマシって簡単には思わせないようにしなきゃね」


色々準備をしなければならない。

名残惜しいけど、すやすや眠るトラゾーの頭を撫でる。


「行ってくんな、トラゾー」


「しにがみくん、トラゾーのことよろしく」


『りょーかいです!』


プツリと通信が切れた。


「さて、どうしてやろうか」


「らっだぁみたいなことは俺らじゃ出来ねぇし。…ま、いつも通りの拷問の手加減なしverってことで」


「だいぶ俺らも手ぇ抜いてやってるけど、耐えれるかな?すぐ死なせるのは嫌なんだけど」


「クロノアさんは上手じゃないすか、そういう調整」


「いやいや、俺は単に手を抜かんとすぐ殺しちゃうからさ。情報吐かせる前に殺したら捕まえてきた意味なくなっちゃうからね」


ははっ、と笑うクロノアさん。


「まぁ、俺もおんなじか」


「ぺいんとの方がそういうの上手いじゃん」


「俺はただメンドクセーって思ってしてるんで。捕まえてきた人間の命なんてゴミよりも価値がねぇし聞くだけ聞いたらそのものの価値すらなくなっから」


「言えてる」


「ま、今回は話は聞く必要全くないし。ゴミ共には何をしでかしたかを身をもって知ってもらって後悔しながら絶望させて死なせるのが目的ですから」


抑え込んでいた怒りがふつふつと沸く。


「誰に手を出したか、わからせないとね」


隠せない殺気に先程からすれ違う部下たちが顔を青褪めさせて動きを止め道を開ける。


「終わったら協力してくれた人たち呼んで、ゲーム大会でもしましょうよ」


「いいねぇ、楽しそう。きっとみんな来てくれるよ」


「らっだぁなんか1番に乗り込んでくるって。マジであいつトラゾーのこと大好きすぎだもんな」


「大好きすぎて、俺ら的には嫌だけどね。その大好きがどう言う意味なのか全く読めないし」


あの穏やかな優しい顔の裏で何を考えてるか俺にも分からない。

ただ、その優しいが向けられるのも極一部であるし、優しいの方向性がたまにトチ狂ってるからやっぱあいつはサイコパスだ。


「トラゾーも嫌がってないから調子のんだよなぁ…」


「トラゾーは鋭いような鈍いようなとこあるからね。身内には余計鈍いのかな?」


俺らの好意に気付いてないくらいだし。

無防備に寝てる顔を思い出して苦笑いした。


「ま、その辺はこれからゆっくりじっくり教えていけばいいんじゃない?」


「クロノアさんが言うとなんか重みが増しますね」


「どういうことだよ(笑」


「そういうことですよ(笑」


手始めに1番近い国へ向かう。


「さて、時間をかけたくはないけどたくさん時間をかけて殺すとしようか」


「はい、総統の仰せのままに」


どのみちそれぞれは小さな国であるし、あんなよからぬことをしようとする人間がいる国なんてロクなものではない。

元々、手を組むつもりもない上辺だけの関係だ。

そんな国がいくつ消えようとも俺らには関係のないことだし、そもそもあの人らを怒らせた時点で終わりだ。

下手すりゃ、国の存在自体が無かったことになる可能性もある。


「帰ったらトラゾーに癒してもらおう」


「そうすね」


あいつもあいつでズレてるとこあるから、無関係な人巻き込んでないならいいやとか言いそう。


「じゃ、やりますか」


「了解です」


終わったあとは、今度はトラゾーにもっとゆっくり自分がどんだけ愛されてるのかをわからせないと。


「ご褒美もらえると思って頑張るかー」


「何してもらおっかなぁ」


今頃、目を覚ましたトラゾーは腰の痛みでベッドに逆戻りしてしにがみくんに助けを求めているだろうな、と思いつつ歩みを進めた。

大切なものほど見落としやすかったりする

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