マリア「終わったわ。」
ベツレヘム「マリア、あの人は…」
マリア「治療はしたわ。これならゆっくり寝ていれば大丈夫。ところで…首に薬草を塗ったのは誰?」
アリィ「は、はい…あの…もしかしてヤバかったり…」
マリア「逆よ。よくやったわ。」
そう言ってマリアはアリィの頭を撫でる。
アリィ「わっ…」
マリア「嫌だったかしら?」
アリィ「い、いえ…」
マリア「あの状態だと、なんの処置もしてなかったらここに来ても、間に合わなかったわ。よく、応急処置が分かったわね。 」
アリィ「ほ、本が好きで…。」
マリア「そう。いい趣味ね。ベツレヘムが説明しただろうけど私からも自己紹介をするわ。私の名前はマリア。 」
アリィ「わ、私はアリィです!」
ジーク「ジークです。この度は有難うございました。」
マリア「そんなに畏まらないで。彼?彼女?は向かいの部屋で休ませているわ。見てもいいけど、起こさないようにね。 」
アリィ「う、うん。」
ベツレヘム「アリィさんったら頭を撫でられてから照れちゃってますね。」
アリィ「て、照れてなんか…!」
ベツレヘムに指摘されると、アリィは一気に顔が赤くなる。
ジーク(かわいい…)
マリア「ジーク君だっけ。 」
ジーク「は、はい。」
マリア「貴方も休んだ方がいいわ。」
ジーク「え?」
マリア「随分と疲れた顔をしてるもの。…ここには全員体調が回復するまで、泊まっていっていいわ。 」
ジーク「あ、ありがとうございます…。」
アリィ「…私、あの人の様子を見てくるね」
ジーク「分かった。」
アリィ「………」
白髪の人間はすぅすぅと寝息を立てている。
アリィ(よかった…苦しくなさそう…。…この人を放ってポルポルを探しに行ったらダメだよね…。ジークも休ませなきゃ…)
「はぁ…。」
白髪の人間「んん…。」
アリィ「あ…」
(起こしちゃったかな…)
白髪の人間がパチリと目を開け、ゆっくりと起き上がる。
アリィ「ごめんなさい…起こしちゃった…?」
白髪の人間は首を横に振る。
白髪の人間「…助けてくれてありがとう。ゲホッゴホッ!」
白髪の人間が一言発すると、咳き込む。
アリィ「大丈夫…!?」
白髪の人間も咳き込みながらも、アリィを安心させようと頷く。
白髪の人間「…本当に…大丈夫…だから…。」
アリィ「でも…」
白髪の人間「…まだ、名前を、言ってなかったね。…ボクの名前は……『ノア』。」
アリィ「ノア…。あ、私は…」
ノア「くすっ…スープをくれた時に…言っていたよ。」
アリィ「あれ?そうだっけ…。」
ノア「アリィ…でしょ?」
アリィ「覚えていないな…」
アリィが思い出そうとしていると、ノアはくすくすと笑っていた。
アリィ「…ノアさんが無事でよかった。 」
ノア「…心配してくれて…ありがとう…でも、呼び捨てでいいよ。」
アリィ「わ、わかった。」
ノア「…アリィ、ボクは…ゴホッ!」
ノアがアリィに何かを言いかけた時だった。ノアが突然咳き込み、吐血をした。
アリィ「血…!?」
ノア「気にしな…ゴホッ!」
アリィ「でも….。」
ノア(…喋りすぎたか…。)
ノアは再び安心させようと頷く。
アリィ「…ん……」
ノア「ごめ、もう…しゃべれな…ゴホッ」
アリィ「そっか…ごめんね、無理にしゃべらせて…。」
ノアは首を横に振り、否定する。
アリィ「私は出るから、ゆっくり休んでね。」
ノアはこくりと頷いた。
その後アリィはノアの状況を説明したあと、ノアの事はマリアに任せ、マリア以外の3人で研究所を探索することになった。
アリィ「部屋が多いね。」
ベツレヘム「用途ごとに部屋を分けてるらしいですよ。〜♪」
鼻歌を歌う、ベツレヘムの尻尾が気ままに揺れる。ふと、ベツレヘムの尻尾を見ていたジークの頭に疑問が浮かび上がる。
ジーク「…なぁ、気になったんだけどさ。」
アリィ「?」
ジーク「アカネ君って、アンドロイドなんだよな? 」
ベツレヘム「はい、そうですが…」
ジーク「尻尾とか耳とか…もふもふしてるのか?」
アリィ「そ、そんなこと…!?」
ベツレヘム「あっはは!別に構いませんよ。 久しぶりに会ったからなぁ。本人に聞いた方が早いかも。アカネ君、いるんでしょう?」
アカネ「ベツレヘムさんは勘がいいので、すぐに気づかれてしまいますね。」
アリィ「ねっ、どうなの?」
アカネ「触ってみますか?」
そう言ってアカネは横にパタパタと降っている尻尾を差し出す。
ジーク「そ、それじゃあ…失礼します…」
アカネの尻尾をジークが恐る恐る触れる。
ジーク「…固い…。」
アリィ「なんて顔をしてるの。」
ジークの顔は期待していたのか触れてからションボリした顔をしていた。
アカネ「お役に立てず、申し訳ありません。」
アリィ「ほらぁジークがそんな顔をするからぁ。」
ジーク「ご、ごめん…。」
アカネ「ふふ、気にしないで下さい。何かお困り事がありましたら、言ってくださいね。 」
アリィ「うん。」
ベツレヘム「どうやら、ここのアップデートはまだなんですね。」
アカネ「内部から詰め込むとのことです。」
ベツレヘム「なるほど。」
アリィ「じ、ジーク、私難しい話分からない…。」
ジーク「大丈夫だ、俺も分かってない…。」
アリィ「何にも大丈夫じゃないじゃん…。わ、私達この部屋探索してるね。 」
ベツレヘム&アカネ「はーい。」
アリィ「失礼しまーす…。」
ジーク「暗いな…この部屋…。電気は…っと」
ジークが手探りで電気を探すとカチッと音が鳴り、部屋が明るくなる。
アリィ「これは…」
ジーク「アカネ君が大量にいる…。いや、この場合は機体か… 。」
アリィ「なんでこんなに…」
ジーク「多分、バックアップだ。」
アリィ「バックアップ? 」
ジーク「壊れたら困るだろう。…まぁこれに移しても、型落ちな気がするが…。」
アリィ「…きっとそういう問題じゃないんだと思う。というか何だかここ、入っちゃいけない場所な気がする…。」
ジーク「怒られる前に出ていこう…。」
そうして2人はそそくさと部屋を後にした。
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