テラーノベル
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雑誌の撮影現場。セットのチェンジ中、岩本照はスタジオの隅にある脚立に腰掛け、ペットボトルの水を飲んでいた。
黒のタンクトップから覗く筋肉質な腕、鋭い眼光。
誰もが「カッコいい」「強そう」と憧れる、Snow Manのリーダーの姿だ。
だが、そんな彼に臆することなく近づく男が一人。
「……岩本くん」
「ん? どうした、蓮」
岩本が顔を上げるより早く、目黒蓮が岩本の両脇に手をついた。
脚立に座る岩本を、立っている目黒が完全に閉じ込める形になる。
いわゆる「壁ドン」ならぬ「脚立ドン」だ。
「……近いな」
「そうっすか?これくらい普通じゃないすか」
目黒は悪びれる様子もなく、整った顔を岩本に近づける。
岩本も182cmあるが、目黒は185cm。
座っている今はもちろん、立っていても目黒の方が視線が高い。
普段「守る側」にいる岩本にとって、物理的に「見下ろされる」感覚は新鮮で、少しだけ居心地が悪く、そして──ドキリとする。
「……で、何の用だよ」
「いや。岩本くん、さっきから眉間にシワ寄ってるなと思って」
「……集中してんだよ」
「嘘だ。甘いもん食いたくてイライラしてるだけでしょ」
図星を突かれ、岩本が言葉に詰まる。
目黒はフッと低く笑うと、ポケットから一口サイズのチョコを取り出し、岩本の口元に差し出した。
「はい、餌付け」
「……お前なぁ、扱いが雑なんだよ」
文句を言いつつも、岩本は素直に口を開けてチョコを受け入れた。
口の中で甘さが溶け出すと同時に、岩本の表情もふにゃりと緩む。
「……うま」
「ふふ、やっぱり。岩本くん、その顔のほうが可愛いっすよ」
「……っ、うるせえ」
「可愛い」と言われ、岩本が照れ隠しに顔を背ける。
その瞬間、目黒が長い腕を伸ばし、岩本の腰を引き寄せて抱きしめた。
「……おい、蓮! スタッフさん見てるだろ」
「見させておけばいいじゃないですか。……俺、岩本くんが俺の前だけで力抜くの、優越感なんすよね」
耳元で囁かれる、独占欲の混じった低い声。
年下のくせに、この男の腕の中は妙に広くて、抗えない力強さがある。
リーダーとしての鎧を、いとも簡単に剥がされてしまう感覚。
「……生意気なんだよ」
「知ってます。……でも、岩本くんも満更でもないでしょ?」
岩本は大きなため息を一つついて、観念したように目黒の背中に腕を回した。
広い背中、自分をすっぽりと隠してしまう体格差。
「……まあ、悪くはない、けど」
「じゃあ、このまま休憩終わるまで充電させてください」
筋肉質な男二人、密着度は高いのに、流れる空気は甘くて穏やか。
「強面リーダー」を「可愛い彼女」扱いできるのは、この高身長で生意気な後輩だけの特権なのかもしれない。
コメント
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餌付けおもろ笑 ひーくんのツンツンしてる感じ好きー 続き待ってます