何時だったか、ひとりの少女が青年に
此の世の定義を語った。
自分が立てた仮説を見ず知らずの青年に
熱弁する少女。
不思議な話を胡散臭いと思いつつも
確かに納得させられている青年。
此の何とも言い難い絵面が
今宵、再び出来上がってしまったとか。
「 あれ、君とは前にも会ったね? 」
「 生憎、今は独りで夜に浸ってる処だ 」
「 そんな事言わずに話そうよ
こう見えて私は今から死に行こうと思って
外出て来たんだから。 」
「 … 今度は何だよ 」
酸素濃度が余りにも薄過ぎる此の世界で
神から唯一受けた御告の詞。
‘ 精々頑張って生きなさい ’
さて、そんな曖昧で酷な御告を受けて
私はこう思う。
アニメや映画、ドラマ、小説の世界に
飛び込みたい。
主人公の努力に寄っては見事なる逆転劇を
起こす事が出来るそんな世界線。
羨ましくて仕方が無い。
どうも息が出来ない。
短い呼吸と歪む視界。
無情な事に進む時計。
陽が昇り、朝が来て、1日が始まる。
そんな当たり前の事に、日々に、
目が眩む。
頭が痛くなる。
一昔前、此の世は不具合で出来ていると
思っていた。
違うのだろうか。
「 ねえ、君はどう思う?
私が立てたあの仮定は間違ってるのかな?
実は君の言う通り塵の塊なのかな? 」
「 否?ひとつの仮定として
合っていると思う。 」
彼の言う通り間違ってはいなくて
寧ろ未だにそうだろうとは思う。
何せ私が産まれて来たのは、
他ならぬ不具合なのだから。
だがしかし、
其れだけでは無い気がした。
不具合というのはひとつの考察で
もうひとつ、考察を立ててみる。
此の世界で起こる事柄、総て
人間嫌いな神に寄る悪戯
なのでは無いか?
そうでもしなければ
余りにも酷な人生過ぎるでは無いか。
屹度、そうなのだと勘違いしておく。
「 今日も饒舌に御説明どうも 」
「 君ってどっちの人間? 」
「 見ての通り御前と同類だよ。
廃棄物に成りたくて必死。 」
私達とは相反する存在、
幸せな人生を歩んでいる人からすれば
何が酷なのか?と疑問に思うだろう。
そういう人は生涯疑問に思っていれば良い。
知らない方が平和で在る。
何せ、
1.檻に閉じ込められる
2.小さな逃げ路すら塞がっている
3.助言する者は皆無責任
こんな状況に陥る事が多々。
自ら失せてしまいたくなるのも無理は無い。
何度過ぎったか判らない。
「 相談してね 」
「 無理しないでね 」
「 大丈夫? 」
何度聴いたか判らない。
どんな詞も全て無責任に発せられる。
生きられない人?
世界中の難民族?
もっと頑張って?
消え失せたら良い。
「 御前は今日迄、十分頑張ったよ 」
其の詞が
欲しくて、欲しくて、求めてた。
足掻いていた。
「 御疲れ様 」
今晩は、視界が歪んで月明かりすら
視えないでしょう。
私達を虐める神へ
何時か廃棄物に成ったら呪ってやります。
酷な人生を歩む人達より
名前も知らない少女と青年が
此の世への嫌悪と憎悪と挑戦心を込めた
一通の手紙が紙飛行機と成り、
今宵、夜空を舞う。
此 の 世 の 悪 戯
酷 な 人 生
end.
コメント
6件
遅れてごめんんん🙇🏻♀️ 通知見たときに此の世の定義とタイトル似てるなーって思ってたら続きだったのね大好き🫶🏻︎💕 女の子は男の子に死.ぬのを少し止めて欲しかったんじゃないのかなぁとか思ったりする ルビが天才的すぎてどっちで読んでも深いいい、廃.棄物ってここでも持ってくるの良すぎたっ 複雑な気持ちを的確に言うこの2人刺さりまくりです🤦🏻♀️
とぅわっ!?!!? もう何事愛した 独りで夜に浸るな惚れる 廃.棄物になりたいとかも流石に好き過ぎて四肢爆発した 理由を三つ並べて言うの相も変わらずに愛してる 此の世の定義にもありましたよね!? 生きれない人とか、難民とか、もっと頑張れとか、よく出される比較対象並べた後に消え失せたらいいってきて心臓ギュンってなった 責任取って養ってください