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#テト
Ru_らだち☆_
95
#二次創作
風が吹いていた。
瓦礫の街の隙間を。
崩れた建物の頭上を。
散らばったガラスの先を。
静かに。
ゆっくりと。
吹き抜けていく。
誰も、動かなかった。
回収部隊も。
堕天使たちも。
あの男も。
ただ。
瓦礫の中心を見ていた。
そこには。
二人がいた。
金色の彼。
そして。
青鬼の少年。
「渡せ」
男が言う。
最後の命令だった。
静かで、感情のない声だった。
金色の彼は答えない。
ただ。
腕の中の少年を抱き締める。
その時だった。
がしゃり。
瓦礫が鳴る。
誰かが動いた。
部隊の一人だった。
若い堕天使。
恐怖で顔が引き攣っている。
「危険です!」
叫ぶ。
震える声で。
「また暴走したら⋯!」
誰も、止められなかった。
剣が抜かれる。
一瞬だった。
「待て!」
男が叫ぶ。
けれど。
もう遅い。
銀色の刃が走る。
青鬼へ向かって。
らっだぁが顔を上げる。
その目には見えた。
きょーさんが。
驚いた顔をしていた。
だから。
反射だった。
身体が動いた。
どん。
鈍い音。
世界が静かになる。
きょーさんの目が見開かれる。
どろりとした液体。
赤くねめついた色。
血だった。
らっだぁの身体を。
剣が貫いていた。
「……あ」
誰かが声を漏らす。
部隊員の顔から血の気が引く。
男は目を閉じた。
最悪だった。
最悪の結末だった。
「らっだぁ」
きょーさんの声が震える。
「らっだぁ」
呼ぶ。
何度も。
何度も。
抱き寄せる。
血が止まらない。
能力を使う。
光が溢れる。
傷が塞がらない。
もう一度。
さらに光を流す。
それでも。
傷は閉じない。
「なんでや」
震える。
「なんで治らへん」
何度も。
何度も。
何度も。
光を流す。
治れ。
治れ。
治れ。
「きょーさん」
声だった。
きょーさんの手が止まる。
らっだぁが笑っていた。
泣きそうな顔で。
でも。
幸せそうに。
「……喋るな」
「やだ」
少しだけ。
昔みたいに笑う。
「ざこ」
その言葉で。
きょーさんが泣いた。
初めてだった。
声を上げて。
泣いた。
「アホ」
震える声。
「アホやろお前」
らっだぁは笑う。
「ごめん」
「謝んなや」
「でも」
呼吸が浅い。
血が増える。
もう。
誰の目にも分かる。
時間がない。
らっだぁはゆっくり目を閉じる。
そして。
また開く。
きょーさんを見る。
ずっと。
見ていた顔。
ずっと。
好きだった顔。
本当は。
もっと早く言いたかった。
雪の日も。
春の日も。
『おかえり』
を書いた日も。
『おつかれさま』
を書いた日も。
全部。
言いたかった。
でも。
言えなかった。
だから。
今だけは。
ちゃんと。
声で伝える。
「ありがとう」
涙が落ちる。
「助けてくれて」
一呼吸。
「一緒にいてくれて」
また。
一呼吸。
「名前、呼んでくれて」
きょーさんが泣く。
止まらない。
らっだぁは少し笑う。
そして。
最後に。
本当に最後に。
「大好きだよ」
世界が静かになる。
風だけが吹いている。
「……らっだぁ」
返事はない。
もう。
返ってこない。
きょーさんは俯く。
震える手で。
青い髪を撫でる。
何度も。
何度も。
優しく。
そして。
笑った。
泣きながら。
「馬鹿やなぁ⋯っ」
声が掠れる。
「喋れるなら」
涙が落ちる。
「もっと早よ言えや」
風が吹く。
青い髪が揺れる。
返事はない。
もう、どこにも。
✦
数ヶ月後。
部屋は静かだった。
春が終わり。
夏が来ていた。
金色の彼は扉を開く。
癖だった。
今でも変わらない、変えられない癖。
「ただいま」
静寂。
誰もいない。
返事もない。
『おかえり』
も。
『おそい』
も。
『ざこ』
も。
ない。
最初は耐えられなかった。
部屋が広すぎた。
静かすぎた。
帰るたびに、胸が痛かった。
けれど。
ある日。
机の整理をしていた時。
引き出しの奥から、一枚の紙が出てきた。
見覚えのある字。
少し癖のある字。
何度も見た字。
震える手で開く。
そこに書いてあったのは。
『ただいま』
だった。
意味が分からなくて。
少しだけ笑う。
そして。
少しだけ泣く。
本当に、少しだけ。
窓の外では風が吹いていた。
あの日と同じ。
穏やかな風だった。
金色の彼は紙を胸へ抱く。
そして、誰もいない部屋で。
小さく呟く。
「おかえり」
返事はなかった。
けれど、それでよかった。
きっと。
どこかで。
あの青鬼は。
らっだぁは。
笑っている気がしたから。
『貴方の一番になれなくて』−End。
完結です!
ここまで読んでくださってありがとうございました(人*´∀`)。*゚+
よければ他の作品も読んでやってください(人 •͈ᴗ•͈)
またどこかでお会いしましょう。
ではまた。
コメント
7件
普通に泣いてしまった。 きょーさんが見ようとした時隠してた紙はそれだったのか。 最高でした🙏🏻
凄く本当にマジで過去一感動🥲 らっだぁぁぁぁぁぁぁぁぁ(泣) きょーさんは後を追わなかったのか おかえりの紙しまってあんの良すぎる