テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
🐸『カエルが運ぶ恋』
第十一話「優勝へのラストスパート」
シーズン最終盤。ハヤブサスポーツのスタッフたちも、社内テレビで連日試合を追っていた。
小郷健斗が打てば歓声が上がり、凡退すれば空気が止まる。
それほど彼は“顔”であり、“希望”だった。
ある日、りながふと呟いた。
「打ってほしいって気持ちと、無理しないでほしいって気持ち、両方あって……」
キューが言った。
「どっちも本音だよ。だから、“待つ”だけじゃなくて、“信じて祈る”も大事だ」
りなはうなずくと、夜空に向かって目を閉じた。
チームは現在、首位とゲーム差なし。
優勝は この三連戦で決まる
三連戦の1戦目、小郷はノーヒットに終わった。
しかし、その表情には焦りも悲壮感もなかった。
「明日も、バットを握れる。
それだけで、十分すぎる」
そう呟く彼の背中を、スタンドから見守るりなの目には、涙が浮かんでいた。
ハチは小郷の足元に寄り添い、キューはりなの胸ポケットからそっと空を見上げる。
「いよいよだな」
「うん。……あいつら、きっとやるさ」