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私にはどうしても憎い人がいる。
みんなには「ちぃ」と呼ばれているそうだ。
それこそ学校内でのいじめは起きていないが、
ネットになると、「ちぃ」は変わる。
学校では面白く、いい友達、のような印象だが
ネットだと油断してしまうのだろうか。
一瞬にして変わってしまう。
暴言はもちろん、直接言うのは怖いのか、
プロフィールなどに私に向けての言葉を書く。
それだけではない
「ちぃ」は一人だと直接言わないが、
2人とでもなると、突然責めてくる。
そして、最も嫌だったのが、ネットで実名を晒されたことだ。苗字は言われていないが、
誰だって嫌なものだろう。
そこから、私は「ちぃ」が憎らしくなり、
少しほど 脅した。
“次やったらお前の親に言うよ”
それをいったら「ちぃ」は焦り出した
なんて滑稽なのだろう、単純なのだろう、
その時は面白かった
でも、言われないというのがわかった瞬間
陰口や陰湿なネット内での嫌がらせは増えた。
私はそんな「ちぃ」が、憎くて、憎ったらしくて、許せなくて、一生残る心の傷を負ってほしくて、「ちぃ」が笑って過ごせる日々を壊したくて
「ちぃ」が一生忘れない傷を作りたかった
「ちぃ」の本名は特殊なものだから、
私も「ちぃ」の実際の名前を言っちゃえば、
「ちぃ」は焦るし、怖がるのでは?
私は馬鹿だから、そんな単純な答えを出して、「ちぃ」の本名をネットで晒した。
それこそ拡散はされなかったが、一部の人は知ってる状態になった。
「ちぃ」は実際の名前でネットの人に呼ばれた時、何故だどうしてだと焦っていた。
そこまでは面白かったし、楽しかった。
でも、「ちぃ」は自分の親にそのことを相談した。
私が教えた。と、「ちぃ」は親に報告した。
【ああ、バレていたんだ。】
絶望と、恐怖が心を襲っていた 。
「ちぃ」は学校にも私のことを言った。
私だって、「ちぃ」に本当の名前を晒されたことがあるのに、それをどれだけ告発しても、
嘘つき! と、言われ、誰にも信じてもらえなかった。
私はもっと酷いことをされたことがある とも
何度も言った。
みんな、私のことなんて信じなかった。
「ちぃ」はそんな私を見て、ニヤリと笑った。
ああ、死んで欲しい。生きていることが間違いな生物だ。
そう私は思った。
それから、私は「ちぃ」と関わらなくなった。
相手も望んだことだろうと、皆は言った。
関わりたいわけではないが、痛い目を見させたかった。どうしても嫌いだった。
そして、私は「ちぃ」を社会的に抹殺しようとした。
何をしても、何をしても、効かなかった。
「ちぃ」は調子に乗っていた。
学校でも、ネットでも可愛い可愛いと言われていた。
実際そこまで容姿はよくないが、馬鹿な生徒や友達は可愛く見えるのだろう。
不細工で、気色悪かった。まして、性格も悪い。
最悪だ。
なのに、皆はそれに気づかない。
私が間違っていて、皆が正解なのだろうか。
気が狂って、何がどうなってるのかすらわからなくなっていた。
そんなところ、私と同じで
「ちぃ」があまり好きではない人と会った。
どんなことをされたとか、何が嫌だったかとか。いっぱい、いっぱい話した。
案外そのこと私は気が合うもので、親友のような関係になった。
ある日、普通に雑談をしていたら、突然、その子が私のことをあだ名で [にんじん] と、呼んだ
なんだか面白おかしく、そして可愛らしい名前だな と思いつつ、私もその子に[さかな]というあだ名をつけた。
それから私はさかなとよく遊ぶようになった
私もさかなも、「ちぃ」のことなんて忘れていた。
忘れてしまったのだ。
学年が上がる頃、「ちぃ」が私とさかなに話しかけてきた。『最近遊んでるけど仲良いの?お似合いだね笑』と言ってきた
若干皮肉混じりにも聞こえたが、私はそんなのどうでも良かった。
それから数日経った頃、遊んでいる時、私とさかなは一緒にSNSを見ていた。
さかなと私の実名がネットで拡散されている。
2人とも誰がやったかは検討が付いていた。
このまま学校に相談しても、私も前にやったと言われるだろう。
一々そんな話を聞くのもめんどくさいし、いい機会だから一生心に残る傷を作ってやろうと2人で決心した。
そして、私とさかなは遺書を書いた。
遺書には、今まで「ちぃ」にされたことを思いつく限り全部書いた。
耐え切れなかった。
そして、放課後、私とさかなは「ちぃ」の机の上に遺書を置き、屋上へ走った。
屋上に行くと、さかなが突然口を開いた。
『あたし、にんじんの事大好きだったよ。』
ああ、なんていい子なのだろう。
私も、同じことを伝え、2人で泣きながら抱き合った後、
屋上から2人で手を繋いで飛び降りた。
私にはどうしても憎い人がいた。
みんなには「ちぃ」と呼ばれていたそうだ。
それこそ学校内でのいじめは起きなかったが、
ネットになると、「ちぃ」は変わった
でも、とても愛らしい人もいた。
楽しい時間は短かった。
でも、その分、とっても、とっても幸せで、数え切れないほど笑った。
『来世は絶対2人で幸せになろうね。』