テラーノベル
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あれから悠に二時間は経った。家中隈なく探して、外も徒歩圏内は行き尽くした筈。阿部ちゃんが運転して来た車は駐車場にある。もしタクシーを拾って何処かに行ったんだとしても、一言もないなんてあるか?あの阿部ちゃんが?何度目か分からないスマホの確認は空振り、依然相手は圏外のまま。…打つ手も、為す術もなくなった。
煙草に火をつけては消すを繰り返すのも、もう何度目か分からない。灰皿が長い吸殻で山になっている。焦燥を落ち着かせる為の煙草が、逆に苛立ちを煽って来るようだ。
俺は、どうしたらいい。阿部ちゃんの家まで行ってみようか。いや…多分、居ない。何だかそんな気がする。
ソファに力なく沈み、組んだ両手の指を見詰めて自問自答を繰り返す、その時。脇に置いていたスマホが鳴った。直ぐさま取り上げ通話へ切り替える。飛び出た声は自分でも驚くほど切羽詰まっていた。
「もしもしっ、阿部ちゃん?阿部ちゃん、今どこ?阿部ちゃ……」
「どぅわっ!?出るなり何だよ、めめっ!落ち着けって、俺深澤。分かるー?ふっかさんよー」
「……あ…何だ、ふっかさんか。ごめんなさい、阿部ちゃんだと思って」
「何だって心外ねー…まぁ、それはいいとして。て事は阿部ちゃん其処にいないんだ?」
「…はい。さっきまでいたんですけど、今は……その」
「あ~…阿部ちゃんに連絡つかなくてさ、めめのとこにいるかなって電話してみたのよ。何処行くとかって言ってた? 」
「っ……ふっか、さん。阿部ちゃん…、…いなくなっちゃったんです」
「……はぁっ!?いなくなったって…なに、喧嘩でもしたの?」
「そう、じゃなくて…急にフッと消えちゃったみたいな…~ごめん、上手く説明出来ない。俺、何だか全然分からなくて、凄く怖くて…っ」
「…めめ。めーめ、まずは深呼吸して。説明は後回しでいいから、めめが落ち着くのが先。いーい?俺の声に合わせてねー…はい、吸ってぇ、吐いてぇ…」
「……うっ、ふぅ……」
のんびりとした声に助けられながらの呼吸は、荒れる心に凪を運んで来てくれた。チリチリ焦げる不安も大分和らいだ。お互いの息遣いだけが響く間、ふっかさんは何も言わない、聞かない。その優しさが体中に染みて、俺は目元を掌で覆い、鼻を啜りながら礼を紡ぐ。
「…っ…ありがとう、ふっかさん。俺落ち着いた、もう大丈夫。えっと…何から話せばいい、かな。阿部ちゃんが家に来たところぐらいから?」
「…ん、良かった。でーね、それなんだけど、実は照と一緒にいてね。迷惑じゃなければ二人でそっち行ってもいい?」
「えっ…は、はい。勿論、ていうかお願いします。どうしようもなくて困ってたんで」
「オッケ、んじゃ照に車かっ飛ばして貰うわ。着いたらまた連絡するねー」
部屋に静寂が戻る。が、先程まで支配していた重苦しい空気とは違う。
どうにかなりそうだよ、阿部ちゃん。
ふっかさんの声を思い出して深呼吸をした後、俺は顔を洗うためバスルームへ足を辿らせた。
コメント
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ドキドキ💓 すごく続きが気になります。

どこ行ったの 続き気になります。