テラーノベル
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結局俺らは誰にも愛されたことなんてなかったんだ。
俺は親に捨てられ児童保護施設、碧は虐められ、親にも見放されて。
本当はこんな共通点、いらないけど。
こんな嫌な共通点で俺らは簡単に信じあってきた。
「怖いんか?碧」
俺は包み込むように碧の手を握った。
ついさっきまであった微かな震えが、無くなっていた。
「ううん、平気。翠ちゃんがいるから」
碧は俺の目を見据えてそう言った。
君のその視線に少し胸が熱くなる。
「ほな、行こか」
「うん」
誰にも縛られないで2人、線路の上を歩いた。
「ちぐ、行くで」
「うん」
俺らは一斉に走り出した。
「ッ、しょッ」
「ふ~ッ、」
ふたりで初めて、金を盗んだ。
人の財布を盗んだ。
「うわ、マジで俺ら盗んだぞ」
「うん…本当に、しちゃった 」
少しの罪悪感と、やってやったという昂りて胸が疼く。
「お前ら、何やってんだ~!!!」
大人が怒鳴りつけてきた。
「やべッ、碧、逃げるぞ!」
「ッ、うん!!」
二人で逃げて、あっちこっちに行った。
どこにも行ける気がしたんだ。
今更怖いものは、僕らにはなかったんだ。
「暑っつ……」
「ね~…シャワー浴びたい……」
「汗かきまくってるもんな」
「うん…」
「ねね」
碧はの川を指さす。
「あそこでさ、水浴びしない?」
「え?で、でも着替え持って無いで?」
「うん、裸なればいいじゃん」
「いや、恥ずいって……」
「そんな硬いこと言わずにさ!」
俺は碧に押され、川に近付く。
碧は容赦なく服を脱ぎ始めた。
「へ、ちょ、碧!?」
俺は顔を赤くし、そっぽを向いた。
「え、なんで恥ずかしがってんの?」
碧はそう言い、笑顔で俺の視界に入ってくる。
「ね~、ホンマにやめてや!」
「え~、同性だし、昔はよく一緒に風呂入ってたじゃん」
それでも恥ずいものは恥ずいのだ。
確かに昔、児童保護施設の風呂場勝手に入って二人でお風呂で遊んだっけ。
「おりゃ!」と言って君は俺の服を脱がしてきた。
「ちょ、おま、辞めろって馬鹿!」
「いいじゃん、のろのろしてたら人来るよ?せっかくのチャンスだしさ!」
そう言って全裸にさせられ、川の方に押された。
「うぉッ、冷たッ、」
「あははっ!気持ち~!」
そう言って俺らははしゃぎ合った。
残りの時間を楽しむ為に。
「暑さも、知力も、今となっちゃどうでもいいよ。半端者のちいさな逃避行の度だ!」
碧は楽しそうに笑った。
半端者。
その言葉がやけに俺の胸に突っかかった。
「あ、ヒーローの缶バッジだ」
碧が静かに呟く。
「懐かし、よく二人でこのヒーローになる!とか言ってたっけ」
俺は昔の記憶を掘り起こす。
「言ってた言ってた」
碧は目を細め懐かしそうに微笑んだ。
「このヒーローなら犯罪者の俺らも見捨てずにちゃんと救ってくれるのかな」
碧は俯き、つぶやいた。
俺は何も返すことが出来なかった。
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