テラーノベル
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「う~ん、どこ行く?」
碧は顔をしかめ、こっちを見る。
「あてなんてないもんな」
俺も頭をフル回転させる。
蝉がミンミンと煩く鳴いている。
「あ~、フラフラする……」
碧が辛そうに目を細め、頭を抑えた。
「大丈夫か?」
俺は視界が揺れているのを無視し、碧に心配の言葉をかける。
「おい!碧くん!翠くん!」
鬼のような顔をした大人が迫ってきた。
「やべッ、碧、走れるかッ!?」
俺はそっと碧の背中の後ろに手を添える。
「うんッ!」
2人で走り出した。
鬼の怒号が耳をつんざく。
「わ~!怖い怖い!」
碧は笑って走る。
「思ったより足、相手早いな!」
二人で馬鹿みたいにはしゃぎあった。
これが二人ではしゃげる最後と知らずに。
遂に追いつかれた。警官達が少しずつ近付いてくる。その瞬間、腕を強く引かれた。
「来るなッ!」
今までにないほど鋭い叫びに俺は驚く。
「来たら翠を殺すぞ!」
碧はナイフを俺の首にそっと当てた。
「碧!?」
俺は突然のことに理解が追いつかない。
警官達が1歩ずつ退いていく。
が、そこまでの覚悟がないと思ったのか、少しずつ近付いて来た。
「もう諦めよう、碧」
俺は碧をそっと包み込むように言葉を紡ぐ。
「ごめんね」
碧はそう囁き、大きな声で言った。
「誰も救ってくれなかった!誰も、俺を見ていなかった…!なんで俺を虐めてくる奴らは笑ってるのに、俺は笑って生きれないのっ!」
君は涙混じりにそう叫んだ。
俺はそっと碧に聞こえる程度で囁いた。
「なぁ、俺らもう終わりや。俺達、捕まってまう。視界は揺れてる、体力も限界、金もない。もうずっと前に限界を迎えてたんや。碧、君ならわかるやろ?もう終わりなんや。俺達はまだ高二や。俺らは弱かった。だからさ、碧。俺を殺してや。そのナイフで、俺の喉を掻っ切ってくれ。碧がもう生きたくないように、俺ももう生きたくない。家族も、友達もいない。そんな世界にオレは帰りたくないんや。だから、お願い。」
俺は碧の目を見つめ、そう言った。
でももちろん、応じる訳もなく。
君は俺を突き飛ばした。
俺はすぐに警官に押さえつけられる。
「碧!逃げて!」
俺は叫びにも満たない声で碧に言う。
「今までありがとう、翠ちゃん。翠ちゃんがいたから、俺、ここまでこれたんだと思う。最後にこんなに楽しい旅ができるなんて、思ってもなかったよ。だからもういいよ。もういいよ。」
「死ぬのは俺1人でいいよ。」
君は俺を突き飛ばす直前、そんなことを言った。
コメント
2件
流石に切なすぎないかあああ😭😭 めっちゃ好きな作品です😽🫶🏻