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🌷夜の読書室
ここは光の国。人々は光に守られ、抑制力によって闇を排除し、物質的には豊かに暮らしている。
ティアは、精神障がい者施設で暮らす25歳の女性。
幼い頃から精神疾患と空想癖があり、症状はそれらが混じり合ったものだった。
幻聴と幻視だ。
ティアは今日も夜遅くもう誰もいない施設内の読書室で心理学の本を読んでいた。
現状を打開したいという思いからだ。
「無駄だ、どうせお前には理解できない」
黒い炎のような姿、触手を持ち、口と目がついている幻視があらわれ、ティアを否定する。
この人格は理性の過剰から生まれたため、ティアを馬鹿にしてくる。
ティアはその言葉を無視して、本のページをめくる。
「やめろ、やめろ無駄だ」
幻聴の言葉。ティアは空想癖で幼い頃から言葉を和らげていた。
しかしいつからかこのような人格まであらわれるようになったのだ。
ティアを7歳から19歳まで診てくれて勉強も無理なく教えてくれた児童精神科の先生が事態を重く見て自分の妻が精神科医として働いている精神障がい者施設をティアの両親に紹介してくれたのだ。
「良くなって帰って来ようね」先生は優しくティアにそう言ってくれた。
ティアは本を読み続けようとした。
「お前はどうせ一生ここから出られない」
黒い炎は、言う。
(うるさい)
ティアは敵対しているこの人格の言葉に反応しようとした。
「ティア、落ち着いて、あいつは理性の過剰から生まれたから相手を馬鹿にせずにはいられないだけ」
母親が作ってくれたピンクのうさぎのぬいぐるみの姿をした人格があらわれ、ティアの味方をした。
「あいつが活発になるのは夜よ、ティアもう休んで」
ピンクのうさぎは優しい。
決してティアに厳しい勉強を強いることはない。
しかしティアの母親は教育熱心で、ティアが理解できないと叱られた。
「ありがとう、今日は調子が悪いから黒い炎が見えるのかも、もう休むわ」
ティアは施設内のティアの部屋へ戻ることにして、本を本棚に返した。
「お前は馬鹿だから、長く起きていられないんだ、すぐ疲れてしまう、情けないな」
黒い炎がティアをあざ笑う。
「やめてよ、ティアは悪くないわ」
ピンクのうさぎが黒い炎の前に出た。
「ふん、いつも邪魔をしやがって」
黒い炎はそう言い残して消えた。
「ピンクのうさぎさんありがとう、もう寝るね」
ティアはほっとした。敵対する声だけではないことに。