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あぁき
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『碧い海』、第1話読ませていただきました🌷 春の高校、新しい出会いの空気感がとても瑞々しくて、一気に引き込まれました。 特に、頼人くんの「話し相手はいない」という一文から始まる静かな距離感が好きです。写真が趣味で、人付き合いが苦手ではないけど自分からは話せないタイプ……その繊細な内面が、窓辺の席や海の描写と合わさって、とても印象的でした。 最後の「高校生活は、まだ始まったばかりだ」という一文に、これからの展開への期待がぎゅっと詰まっている感じがします。海岸清掃の班で、どんな一週間になるんだろう……続きがすごく気になります!
四月。
春の暖かな風が校舎の窓を抜け、真新しい制服の袖を揺らしていた。
入学式を終えたばかりの高校は、まだ誰もがお互いを知らない場所だった。廊下にはぎこちない笑い声が響き、教室のあちこちでは「どこの中学だった?」という会話が飛び交っている。
そんな中、旭川頼人は自分の席に静かに腰を下ろしていた。
窓際、一番後ろから二列目。
悪くない席だ。
校庭がよく見えるし、春の空も広い。
……ただ、話し相手はいない。
頼人は人付き合いが苦手というわけではない。ただ、自分から話しかけるのが少し苦手だった。
だから、中学生の頃も友達は多くなかった。
でも、それで困ったこともない。
そう思っていた。
教室のドアが開く。
「みんな、おはよう。」
担任の黒川先生が教壇へ立つ。
三十代半ばくらいだろうか。少し癖のある黒髪をかき上げながら笑う姿は、先生というより近所のお兄さんのようだった。
「まずは自己紹介から始めようか。」
教室が少しざわつく。
頼人は心の中でため息をついた。
自己紹介。
一番苦手な時間だ。
順番に名前や趣味を話していく。
笑いが起きる人もいれば、緊張で声が震える人もいた。
やがて頼人の番になる。
「旭川頼人です。」
一呼吸置く。
「趣味は写真を撮ることです。よろしくお願いします。」
拍手。
それだけだった。
席へ戻ると、隣の男子が笑いかけてきた。
「写真ってスマホ?」
「いや、一応カメラ。」
「へぇ、かっこいいじゃん。」
そう言って手を差し出してくる。
「神崎悠真。よろしく。」
「よろしく。」
その握手が、高校生活最初の友達だった。
昼休み。
教室は一気に賑やかになった。
「旭川、一緒に食べようぜ。」
悠真に誘われ、頼人は少しだけ安心した。
話しながら弁当を食べる。
たったそれだけなのに、朝より教室が少しだけ居心地よく感じられた。
その時だった。
「ごめん、プリント取ってもらっていい?」
前の席から声がした。
頼人は顔を上げる。
黒髪を肩まで伸ばした女子生徒。
優しそうな目をした彼女は、少し申し訳なさそうに笑っていた。
「ありがとう。」
「どういたしまして。」
それだけ。
名前も覚えていなかった。
でも、その笑顔だけは、なぜか印象に残った。
午後のホームルーム。
黒川先生が一枚の紙を掲げる。
「来週、地域交流活動で海岸清掃をする。班分けを発表するぞ。」
黒板に名前が書かれていく。
一班。
神崎悠真。
白石美咲。
桜庭陸。
そして――
夏目結衣。
旭川頼人。
「よろしくね。」
さっきプリントを頼んできた女子生徒が、小さく頭を下げた。
「あ……よろしく。」
その一言だけで会話は終わった。
それでも、頼人は思った。
高校生活は、まだ始まったばかりだ。
この班で、どんな一週間になるのだろう。
窓の外では、春の陽射しを受けた海が静かに碧く輝いていた。