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凄い…めっちゃ上手い マフラー同じのを10年間使ってたって凄くない?!ものを大切にできる人っていいよね! ちょっと♡♡♡合いはしないでほしいなぁ…トンを助けてあげてー
「ゾム⁉︎どう言う意味だ⁉︎」
「そのまんまや。グルッペンよくトントンのマフラー引っ張ってトントンのクビ締めよるやん。で、一回トントンを窒息させかけたって言うのがあるんやろ?」
そう言うと、ゾムはニヤリと笑った。誰かから聞いた話に違いない。ゾムがこの軍に入るちょっと前に起きた事件だからだ。
「誰に聞いた?」
「大先生に。もしグルッペンが自分でトントンに巻きつけるって言うなら忠告しといてって聞いた話や」
それを聞いてグルッペンは
(全く、変な事を吹き込んだものだ)
と思いながら苦笑し、
「トン氏は殺さない様にするゾ」
と言った。
「ゾム!トン氏の攻撃受けは頼んだゾ!」
「ハイル・グルッペン!」
そう言うとゾムはJohnの前に踊り出て、攻撃をし始めた。それに対する様にJohnも愛用の粛清剣で攻撃を受け流し、何度か痛烈な反撃を繰り出す。その派手な戦いに隠れてグルッペンはマフラーを握りそっと接近する。そして
「ゾム!退け!」
と叫んだ。ゾムはJohnに一撃強烈な反撃を打つと、その反作用を利用して後ろに飛んだ。その瞬間、霞む程のスピードで接近したグルッペンがマフラーを無理矢理トントンに巻き付け、粛清剣を奪い取り、後ろから完全に動きを封じる。しかし、足の動きまでは封じられなかった。Johnはゾムを蹴り飛ばし、気絶させた後、グルッペンに向き直る。その反動で縛っている最中だった縄が解け、側に落ちていた粛清剣を拾う。ただマフラーは外そうとしない。何かしら影響してるのだろう。
「トン氏よ、そのマフラーに見覚えあるだろう?それは私が初めてお前にあげたプレゼントだからな。10年以上もよく使ったものだ。またそれだけ長く使っていたと言う事はそう簡単にはお前の記憶から完全に消え去る事は無いだろうな」
「……残念。あいにくの俺はコレが何か判らないが暖かいし……何故か懐かしいから外してないだけだ」
それを聞くとグルッペンは誇らしげに微笑み
「今、何故か懐かしいと言ったな?」
と言った。つまり、僅かばかりながらそれを身につけていた頃の記憶があると言う事だ。懐かしさ位しか感じられない程にはなってしまっているが関係ない。その記憶がある限りは、トントンを正気に戻せる望みは断たれない。
「トン氏、懐かしいならばお前は私達の仲間であり、私の唯一無二の右腕だ!」
キンッ
「う……ぐっ……」
Johnの左眼が強く輝き、痛みにか呻く。きっと彼に眠るトントンとしての記憶を更に強く深く封じ込めようとしているのだろう。だが
(もう、そんな事はさせない。今トン氏は自分の力でこちらに戻ってこ来ようとしている。ならば、私はそれを手助けせねば!)
「くっ……お前の言葉を聞く度、左眼か強く痛む。だから、お前は俺の手で殺す」
「お前を取り戻す為だ
来い、トン氏」
二人は、お互いの得物を構え、数瞬の静寂の後、二人同時に動き出した。