From.彰人
俺は今日も冬弥に問いかける。
「なぁ冬弥。今日の天気は晴れか?」
冬弥はいつも残念そうに答える。
「残念。今日は雨だ。」
ここ最近、ずっと雨。全然星を見れやしない。
冬弥はずっと傍にいてくれる。俺から離れたくないんだろう。ここに監禁するくらいなんだから。
そういや最近、司先輩からの連絡が途絶えた。何かあったのか?
…いや、何かあったとしたら、それは幸せな事なんだろうな。俺が気にかける事じゃない。あの人たちの邪魔はしたくない。
そんな事を考えていると、冬弥は急に思いついたように言った。
「そうだ、彰人。てるてる坊主を作ればいいんだ!」
なるほど。確かに、気休めにはなるかもしれない。
「作ってくるな!」
冬弥は楽しそうにそう言って、部屋を出た。
あ〜あ。また1人じゃんか。
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From.紗代子
これで良かった…これで良かったんだ。
私は1週間前、大好きだった彰人と別れた。それも全部、彰人のため。
とても怖かった。もう、私に何もないといいけど…
十分に説明もせず、彰人と別れてしまった事はとても後悔している。
1週間前突然現れた彼。私は彼に、とても見覚えがあった。
「紗代子さんですか?」
それは彰人の相棒、青柳冬弥くんだった。
「彰人と付き合ってますよね?」
気持ち悪い程の笑顔だった。怖い。怒ってるのだろうか。
「はい。彰人とお付き合いさせてもらってる、紗代子です。」
「やっぱり。」
「あの…何かご用ですか?」
「ええ。回りくどいのは嫌いなので、単刀直入に言います。」
「何故彰人なんですか?」
「え…?だって、かっこよくて優しくてセンスもいいし話も面白いから…」
すると青柳くんは、首を傾げて言った。
「それ、彰人じゃないと駄目なんですか?」
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気が付けば、私は青柳くんと浮気していた。
「あ〜あ。これ、彰人にバレたらどうなるんでしょうね。」
小悪魔のように彼は笑った。
彰人なら、謝れば許してくれるだろう。だけど、私がそれを許せない。彰人を必ず傷つける事になってしまう。
青柳くんだって、彰人に言うかもしれない。私はどうなってもいいけど、相棒と彼女が浮気だなんて彰人は耐えられないだろう。
悩みに悩んだ結果、私は彰人と別れる事を決意した。
それを伝える時、私はとても震えた。怖かったんだ。彼の目が。
「ごめんなさい…彰人、私と別れてほしいの…!」
「はぁ?!何でだよ?!」
「彰人は何も悪くないの。悪いのは私…!!ごめんなさい、ごめんなさい…!」
こうしないと、彰人にも危険が及ぶ。
彼…青柳くんは危険だ。私が彰人と付き合ってるのが、きっと気に食わなかったんだ。
こうして、私は彰人と別れ連絡も絶った。
全ては彰人のため。身勝手な自分のため。
だけど、彰人に買ってもらった洋服だけは捨てられなかった。初めてのデートで買ってもらったこの服。
翡翠色の綺麗なマキシスカートに、美しい白いセーター。私はこの、彰人が似合ってると褒めてくれたこの服が大好きだった。
これだけは捨てられない。ごめんね、彰人。
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From.冬弥
てるてる坊主ってどうやって作るんだ?どうせ作るなら、効果が強いものがいい。
俺はてるてる坊主の作り方を調べてみた。なるほど、てるてる坊主の中身は人間なのか。
彰人が喜びそうなものを作りたいな…。そうだ。彰人が大好きなもので作ろう。
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ハァ、ハァ……
気がつくと、俺は肩で息をしていた。手には鋸を持っていて、強く握り過ぎたせいか血だらけだった。
やはり、首の骨は硬いな。だいぶ時間がかかってしまった。
残りの体はどうしようか……。俺は下を見た。
薄汚れた翡翠色のマキシスカート、元々は白だった赤いセーターを身にまとった体は、美しかった。
彼女によく似合っている。だが、この体はもう必要ないな。
俺はゴミ袋に体を入れた。ひとまず持って帰ろう。
これでてるてる坊主を作れば、きっと明日は晴れる。
ようやく、彰人と2人で星を見れる。
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コメント
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はッ、はっ、はぁ、はぁ、、(過呼吸)へ? え?? ん??? あ””???? あぁぁすごい、司類たちが可愛く思えてきた。
あああああああああああ鳥肌やばい鳥肌やばい鳥肌やばい鳥肌やばい鳥肌やばい鳥肌やばい鳥肌やばい鳥肌やばい!!え、ちょ、冬弥さあああああああああん!?!?!?