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「ねぇ照…」
「ん〜?」
「あの…あのさ…今日はもう、あの眼鏡かけないの?」
大切な人の温もりを感じて
最高に幸せを噛み締めている、そんな時…
ついに渡辺の口から、あの話題が…
「………何で?」
自分でも驚いた…
明らかに今までとはトーンの違う、低い声
「ひ…かる…?」
当然、渡辺もそれに気付き
腕の中の身体が、強張ったのが分かる…
「ねぇ、何で?このままじゃ駄目?」
急に雰囲気の変わった俺に
動揺しているのが伝わって来る…
「駄目じゃない…よ…あの…照、急にどうした…っ!!うわぁっ!」
最後まで言い終えない内に
その身体をソファーに押し倒し、その上に覆い被さる
「ねぇ…翔太は、アレが気になるの?」
「気になるって言うか…その…っ…ねぇ、照…落ち着いて…!」
「俺は落ち着いてるよ…ねぇ翔太…俺だけ見てて…もっと俺だけに集中してよ!」
俺は、眼鏡に嫉妬してる…
かなり滑稽だと自分でも思う…
それでも、もう止められない…
「眼鏡と俺、どっちが大事!?」
まるで《仕事と私、どっちが大事なのよ!!》
と恋人や旦那を問い詰めているのと同じテンションで、捲し立てる
「………」
「ねぇ、翔太!聞いてる!?」
急に黙り込んだ渡辺の肩を揺すって、答えを求める
『俺だよって…照だけだと言って欲しい…』
しかし…
「あーもう!鬱陶しい!!」
我慢の限界だったらしい…
「照、退け!!邪魔!!」
そう言いながら、鋭い目つきで俺を睨むと…
一瞬怯んだその隙をついて、するりと腕の中から抜け出した
「今日は、もう帰る!」
「えっ!ちょっと待って!」
「五月蝿い!帰る!お前は1人になって、頭を冷やせ!」
形勢逆転…
「ちょっ…待ってよ翔太〜!車は?帰るなら俺、乗せてくよ…」
言い出したら聞かない性格なのは分かっている為
こうなったら、少しでも長く一緒に居たいと提案するが…
「途中でタクシー拾うから良い!」
そう言いながら、荷物を持って
あっという間に、渡辺は部屋を出て行った