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#Snow Man
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### 『俺の存在』
**第20話 退院の日**
退院の日。
朝から病室は、いつもより少しだけ明るかった。
翔太はベッドの上で、ゆっくり荷物をまとめていた。
入院していた期間は長かった。
最初は何も信じられなかった。
誰かが優しくしてくれても、
「また離れていくんじゃないか」
そんな不安が消えなかった。
でも。
毎日来てくれた兄たち。
何度も名前を呼んでくれた。
何も話さなくても隣にいてくれた。
少しずつ。
本当に少しずつ。
翔太の中の“怖い”は小さくなっていった。
「翔太、忘れ物ない?」
辰哉が確認する。
「……ない」
昔なら、ここで会話は終わっていた。
でも今日は違った。
「……兄ちゃん」
辰哉の手が止まる。
「ん?」
翔太は少し恥ずかしそうに目を伏せる。
「……迎えに来てくれて、ありがとう」
その一言で。
辰哉は一瞬、何も言えなくなった。
「……当たり前だろ」
笑おうとしたけれど、声が少し震える。
「迎えに行くの、遅くなりすぎたくらい」
翔太は首を横に振る。
「……でも、来てくれた」
その言葉に、辰哉は目を伏せた。
病室の外では、他の兄たちも待っていた。
「翔太!」
康二が笑顔で手を振る。
「家帰ったら好きなもん食べよな!」
「まだ無理はできないからな」
照がすぐに付け足す。
「分かってる」
翔太が返事をする。
その普通の会話が、兄たちには嬉しかった。
昔なら。
翔太はきっと、
「大丈夫」
「平気」
だけだった。
でも今は。
ちゃんと返事をする。
ちゃんと気持ちを見せる。
退院の手続きを終えて、病院の外へ出る。
冷たい風が吹いた。
翔太は少し空を見上げる。
「……久しぶり」
小さな声。
亮平が隣に並ぶ。
「外の空?」
翔太は頷いた。
「うん」
少し間を置いて。
「……きれい」
亮平の目が少し潤む。
昔の翔太なら、
そんなこと言わなかった。
感じたことを言葉にすることなんて、
ほとんどなかった。
でも今。
翔太はちゃんと世界を見ていた。
車に乗る前。
翔太は少し迷ってから、兄たちを見る。
「……あのさ」
「なに?」
「これからも……」
言葉に詰まる。
でも、兄たちは急かさない。
「……一緒にいてくれる?」
その瞬間。
誰もすぐには答えられなかった。
胸がいっぱいだったから。
辰哉がゆっくり翔太の頭に手を置く。
「もちろん」
「翔太が嫌って言っても、いるわ」
その言葉に、翔太は少しだけ笑った。
「……嫌って言わない」
小さな笑顔。
それは、赤ちゃんの頃の写真に写っていた翔太と同じような、
本当の笑顔だった。
深澤家へ帰る道。
翔太は窓の外を眺めていた。
まだ不安な日もある。
まだ怖くなる日もある。
でも。
もうひとりで抱えなくていい。
「ただいま」
家の玄関で、翔太が小さく言った。
その言葉を聞いた瞬間。
兄たちは全員、胸がいっぱいになった。
ずっと待っていた言葉だった。
「おかえり、翔太」
今度はちゃんと。
家族全員で迎えた。
新しい奇跡のがまつ空に旅立つために。
コメント
14件

素敵なお話を、ありがとう😊
しょたシナさん!サイッコウです!ありがとうございます!神様仏様しょたシナ様! ただいまって言った部分で、深澤家が、昔のような感じに戻ったのを感じて、安心しました。(T ^ T) 本当に、続きを出してくださり、ありがとうございます😭😭😭