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網の内側に入ってすぐ、僕は美洋さんの言ったことを理解した。
魚が足にぶつかってくるくらい、いっぱいいる。
深さは大体、僕の膝よりちょっと上くらい。
一番小さい彩香さんの短パンが濡れる程度。
取り敢えず固まっていた美洋さんの重い袋を取り上げ、代わりに空の袋を渡す。
うん、これ確かに重い。
でも何とか片手で持って、もう片手で網を操って。
魚はいるのだけれど、なかなか捕まらない。
何回か網を振り回したが、スズキの小さいのが1匹やっと獲れただけ。
見ると先輩は、結構上手い具合に獲物を捕まえている。
端っこの方に追い立てていって、身体と網で挟むのがセオリーのようだ。
そんな訳で、僕の袋が危険魚以外に2匹追加されたところで。
「大分少なくなったので、海水冷却をかけます。こっちに集合お願いします」
彩香さんが声をかけた。
あわてて皆で集合する。
「ちょっと水が冷たくなるから注意して下さい。行きます」
1秒、2秒。
海水が明らかに冷たく感じるようになると同時に。
魚が一気に浮いてきた。
小アジ、小サバ、普通のサバ、ヒラメ?、メジナ、アナゴ?
もうガンガンと掬いまくる。
イカまで2匹いた。
あと、これはワタリガニかな。
浮いていた生物がいなくなったところで終了。
まだ若干泳いでいたのがいたけれど、いいだろう。
そう言いたくなる程の大漁だ。
「あと網だけれども、こっちの睦の方へ張ってあるのは、そのままでいいんじゃないか。内部、半分重なる円を描くようにしておけば。さっきの状態だと、岩場経由で海に飛び込む必要があるから、悠が大変そうだし」
確かにそうだ。
「そうですね。少し網配置を、作業効率を考えて直した方がいいようなのです」
設計者の未亜さんもそう言っていたところで。
「とりあえず朝御飯ですよ。切りのいいところで引き上げてきて下さいな」
草津先生の声が聞こえた。