こんな店長に、ここまでしている自分って一体なんだろう。
(…付き合ってられないな。)
帰ろうと席を立った瞬間――
――ギュルルル――
私のお腹が、派手に悲鳴をあげた。
慌てお腹を押さえるが、もう遅い。
周りにも聞こえてたらしく、くすくすと、微笑ましそうに笑う人が視界に入る。
顔から火が出そうなくらい熱を感じ、私は静かに座り直した。さすがにここで帰る勇気はない。
「あ、あの…これは…」
「うんうん。今日はいっぱい食べようか。決まらないなら、俺が適当に選んじゃってもいいかい?」
店長の、ご機嫌そうな顔にイラっとする。
「あ…はい…。何でもいいです。」
半ば、投げやりに答えると冷静になる為、店員さをんが持ってきたお水を一口飲んだ。
冷たい液体が口の中を潤していく。そして、コップから口を離すと目の前で真剣に悩んでいる店長を見つめた。
目を輝かせて選んでいる表情は、無邪気な子供みたい。
(いい年して何をはしゃいでるんだか…。)
「これとこれと…あと、これ…お願いします。……?藤塚さん、やっぱり食べたいのあった?」
「っ…いえ、大丈夫です…」
店員さんが過ぎ去ったあと、店長と視線が交わり、反射的に目を反らす。誤魔化すために、再び水を飲んだ。
「あの…夜に私を誘ったりして大丈夫なんですか?奥さん、心配しないんですか?」
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