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今日もちょろい仕事のはずだった。私は、ある男の詐欺に協力していた。まず未成年のふりをして、客と会う。その後、男が兄のふりをして客を脅す、という仕事だ。私は童顔だったので、未成年と言ってもごまかせた。これまで3回ほどこの仕事をして、普通に売春するよりはいい金になった。
そして4回目の今日の客は、そんなに金があるふうでもなかった。ただまあ、もともと一度に大金を稼ごうというのでもなかったので、別にかまわない。欲を出して失敗するより、地道に稼ぐことが大事なのだ。そしていつも通り、客と会って、ホテルに行った。私としてはさっさとやることやって帰りたかったが、客は酒を飲みだした。
「君もいっしょにやらないかい?」
「いえ、未成年ですので……」
もしかして、本物の未成年か試したのかな? 気をつけないと……。だが、酔った客はしつこく誘ってきた。仕方ないので、「お酒は飲めないけど、ジュースなら」といって付き合うことにした。それで客の相手をして、ホテルに備え付けてあるジュースを飲んだ。客はそれで満足したらしく、酒を切り上げて、お風呂に入ることにした。
「じゃあ僕は先にお風呂入るよ」
「はい」
そう言って浴室に向かった。シャワーの音を聞きながらしばらく待っていると、急に眠気が襲ってくる。疲れがたまっていたかな、と思い、少しベッドで横になった。そのうちに眠りに落ちてしまった。
……しばらくして、目を覚ました。どれくらい眠っていたのか確認しようとしたけれど、目が明かなかった。いや、そうではない。目隠しをされているんだ! 口にも猿ぐつわがされていて声も出せなかった。手も縛られているようだ。これはどうしたことだろう?
風呂から上がると、予定通り女がすやすや寝ていた。ホテル備え付けのジュースの中に、こっそり事前に用意した薬入りのものを混ぜておいたのだ。
さっそく女の衣服を下着含めすべて剥ぎ取ると、手足を縛り、目隠しと猿ぐつわもしておいた。問題はここからだ。普通の方法では女を連れ出すことが出来ない。
だが、俺は以前このホテルで働いていたことがあり、建物の構造を把握しているのだ。まず、事前に用意しておいたスタッフ用の服に着替え、ベッドのシーツなどを運ぶ大きな台車を持ってくる。これで女をばれずに運べる。
このホテルはセキュリティが甘く、従業員の通路に鍵がかかっていない。ほんとは鍵をかける決まりなのだが、みんなめんどくさがってしないのだ。そこにつけこんで、さっと台車を押して中に入り、エレベーターで一階まで下りる。
そこから裏口から外に出ると、あらかじめ用意してあった車に女を乗せて、連れ去る。よしよし、ここまではうまくいったぞ。あとは……。(続く)