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けどさ、そうやって人気ばかりを追い求めてたあたしは、人気とともについてくる別のものがあるってことを、すっかり忘れてた。


ただ、有頂天になってただけなのかもね。


たいして苦労もしないで売れたから。


アイドルなんて、たいしたことないじゃんとか思ってた。


そんな、恐いもの知らずになりつつあったあたしの元に、



ある日、一通のファンレターが届いた──。


ファンレターは、もう何通も読んでいた。


思いを綴った熱いラブレター風のものから、会ったこともないのに勝手に友達気取りで共感を押しつけるもの、自分が七瀬リオを育てたようなつもりでもっとこうした方がいいとかくどくどとアドバイスしてくるものまで、いろいろとあった。


どれも、ひとつずつ読んではいたけれど、くだらないとしか思えなかった。


七瀬リオなんて、本当にはいないのにって。


ステージから降りてしまえば、あたしはただのあたしだった。


素でファンレターを読んでるあたしには、ファンからの熱烈なラブコールなど微塵も届かなかった。



──その日、毎日届くファンレターにいいかげん読むのも飽きてきていたあたしは、手紙の山の中にやけに分厚いものを見かけて、好奇心からふと手に取った。


「REAL」あるアイドルの光と影の告白

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