コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
義理両親からは冷遇され、幹雄には裏切られ、唯一の支えだと思っていた親友にさえも裏切られる自分は、生きる価値もない底辺の人間なのか?
一生、飼い殺しにされたまま、奴隷のように生きるしかないのか?
否。そんなことはない。誰にでも生きる権利はあり、その人の人生や尊厳を奪ったり傷つけたりしてはいけないはずだ。復讐アプリを通じて得た情報は確かなものなのか、また、こずえが本当に裏切り者なのか、確かめなければ。
――こずえが夫の愛人だと、確かめたいです。
アプリにメッセージを打ち込んだ。AIアプリはどのような回答を送ってくるのだろうか。
『かしこまりました。お手伝いいたします』
――でも、知るのが怖いです。こずえは私の親友だから。
文字を打つ指が震え、涙が零れた。こずえの心の底を知るのが怖いと、正直に打ち明けた。
『美晴さん。あなた今まで大変苦しい思いをされました。流産以上の絶望はないはずです。一生クズの正体に気が付かずに付き合いをすることにならずにすんだと、そうお考えください。あなたはまだ若い。もっとあなたを理解して、大切にしてくれる人が現れます。その時が訪れるのを待ちましょう』
AIのアプリが自分を必死に慰めてくれている。惨めで滑稽だが、それでも救われた。
『今までは人運がなかっただけです。まもなく素晴らしい出会いがあるでしょう』
――ありがとう。
『いいえ。美晴さんのお役に立てたのならなによりです。なんでもお申し付けください』
美晴は考えた。今まで久次郎のことを精査してきたから、愛人情報がたったこれだけの写真だけではないと思った。
――私が相原さんの情報をアプリに教えたように、こずえの情報を提出してくれた人がいますよね? もっと他に証拠があれば見せてください。
『もちろんです。上原さんに関する情報を美晴さんと共有します』
アプリから回答があった後、チャット画面上に次々とスクリーンショットの画像が投稿された。多岐にわたるやり取りが綴られている。
『こずたんに会えるのが楽しみでしゅ♡』
恐らくこずえとのメッセージアプリのやり取りを画像にしたものだろう。赤ちゃん言葉が並んでいる。たった一文で思わず吐き気がした。おしゃぶりを使っている夫を想像すると背筋がぞっとする。気持ち悪い夫の趣味はまったく理解できなかった。
『お昼からこずたんと一緒で最高でしたぁぁ♡♡ 今日はいよいよお泊りできて嬉しいのにぃ、むかちゅくことがありまちた! 今日出張だって言っておいたのに、クズ嫁は着替えも用意していなかったのでしゅー! 僕はプンプンでしゅー!! こずたん慰めてほちいでしゅ♡』
『いいわよぉ♡ たーっぷり慰めてあげる♡』
『わーい♡』
『あぁん早くみきくんと結婚した~い♡ そうしたら毎日慰めてあげられるのになぁ♡』
『ほんとでしゅ♡♡ 早くこずたんと一緒になりたいでしゅ♡♡』
気持ち悪すぎて読む気が失せてしまう。吐き気を堪えるのに苦労した。