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月戸 夕空
24
金欠チャン
855
#短編集
りすぐみ
41
君を好きだと言うには遅すぎて。
君を愛してると言うには君を知らなすぎたから。
愛という、恋とはまた違う種を育てなきゃね、
僕たちの恋は今はもうドライフラワーのように色褪せている。いや、最初から花なんて咲いてなかったのかもしれない。だけど僕は本気で君との恋の花を枯れることなく咲かせたかったんだよ。
あの時言いそびれたことを今君に伝えたいよ。あの時の僕はまだ愚かな子供だった、でも今は少しだけ大人になれたと思うんだ。だから言わせてほしい、あの時君が大切にしていたお揃いのコップを割ってしまって本当にごめんよ、だけど片方だけ割れるなんて一人ぼっちになってしまった方がかわいそうだろ、だから寂しくないようにどっちも割ったんだ。だけど君があんなに悲しそうな顔をするなら、どんなにかわいそうでももう片方は大切に取っておけばよかったと今更後悔しているよ。
本当に愚かな自分に腹が立つ。
あの頃の僕は、君のためならなんだってできると思っていた。 だけど、本当に君が望んでいたことは何ひとつできていなかったんだ。
君はいつも「大丈夫。」と平気な顔をして笑っていたよね。
だから僕はその言葉を信じた。信じることが優しさだとそう思っていた。
だけど、違ったんだ。
あの言葉は君が僕に心配をかけたくなかっただけなんだね。
君は泣くのが下手だから、誰かに助けを求めるのが下手だから。全部自分で抱えて我慢していたんだよね。
君は辛い時、悲しい時こそ全部笑って隠してしまうから。
もしあの日に戻れるのなら君の「大丈夫」を疑うよ、
そして君が泣き止むまで隣にいるよ。
でも、もう遅いよね。
だってもう君は僕の隣にはいないんだから
君が好きだった、あのケーキ屋のシュークリームも。
二人でよく歩いたあの道も。
あの日割ってしまったコップも
何ひとつあの頃のまま残っていない。
残ったのは君に伝えることのできなかった後悔の言葉だけだ。
君を好きだと言うには遅すぎて
君を愛してると言うには君を知らなすぎたから。
だから今更になって思うよ。
君が時々言うわがままをあの頃の僕はめんどくさくて嫌になっていたけど、今考えると、君が言うわがままなんてどれも大したことなかったのに。
君にもう一度会えることが許されるのなら僕は全速力で君のことを抱きしめるよ。
そして君にごめんねって言うんだ。
新しいお揃いのコップをプレゼントにしてね。
コメント
3件
読んだよ…。すごく、胸が詰まった。 「好きだと言うには遅すぎて、愛してると言うには君を知らなすぎた」ってフレーズ、刺さりすぎた。コップを割っちゃったエピソードも、あの頃の「大丈夫」を信じた後悔も、全部リアルで苦しかった。でも最後に「新しいお揃いのコップをプレゼント」って希望が見えたのが、涙が出そうだったよ。 まだ1話なのに、もうこの世界に引き込まれてる。続き、すごく気になる。りすぐみさんの言葉、ちゃんと受け取ったよ。ありがとう。