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独立のときの夢を見た。
いつも通り、船から荷物を受け取り運搬をする役を俺は担っていた。しかし、その日はいつも通りではなかった。港が騒がしいのだ。
「ごめんよ!ちょっと通してくれ!」
群がる人を押しのけながらその騒ぎに駆けつけると、アメリカに住む民が紳士服を身に纏う航海人,,,,,,イギリス人の胸ぐらを掴んでいたのだ。何やら話していたようだが、必死になだめて引き離す。民は港の売買者の中でも上部の立場にいた人物であった。他の売買者に連れていかれるところで俺がイギリス人に謝ろうとした時だ。パンパンと触られたところを払い落とし
「全く,,,,,,誰のおかげでこの食料がここに配られていると思っとるんだ,,,,,,」
なんだその言い方はと思ったが、ぺこりと頭だけを下げて先程の売買者の元へ走っていった。その売買者の名はジャックというのだが、ジャックはあと少しで新しい家族が増えるのであることを走りながら思い出す。そして、いざジャックを目の前に映したかと思えば彼はうなだれていた。頭を抱えていたのだ。
「ジャック。何があったんだい」
「,,,,,,アメリカ,,,,,,また、税が増えるんだ、」
「,,,,,,え?」
「イギリス船が来る度に値段は変わる。交渉したって無駄だ。あの大英帝国に逆らえるわけがなかったんだ!!」
座らされていた椅子から思いっきり立ち上がり怒号を放つ。そこにいた他の人もバツが悪いように下を向き始める。
「,,,,,,っ、分かるか?大事な大事な宝物が,,,,,,目の前でやつれていくその過程が,,,,,,!もう今月パンを買う金すら分からない,,,,,,っ!!」
「,,,,,,ジャック,,,,,,」
打開するしかない。せめてアーサーに言ってみよう。そんな甘い考えを俺はずっと期待していたのだ。次の日、船からアーサーが降りてきたのを目撃して一目散に走りに行く。
「アーサー!」
「アルフレッド。久しぶりだな。,,,,,,また背が伸びたか?」
「ははっそうかい?それよりも!アーサーに言いたいことがあって,,,,,,税のことなんだけど」
手をモジモジさせながらもアーサーに言う。しかし、アーサーは困ったような顔をした。
「すまない。イギリス国内でも財政が危機なんだ。今が辛抱のときなんだ。」
そう柔らかい声をかけられる。でも!というものの、ごめんなと返され頭をなでられる。いつもなら不貞腐れるぐらいの気分だったはずが、なんだかとてつもなく気持ち悪く感じた。
その晩、アメリカ植民地内にある集会所に呼び出された。いつもは皆、正装であったのに、なぜか軍服姿しか見えない。オロオロとしながら席に着いた瞬間、口が一斉に開く。イギリスからの圧力に関しての非難だ。
「ちょ、ちょっと皆!落ち着きなよ!」
「落ち着けません!あやつらは我らをもう,,,,,植民地だと、ただの奴隷だとしか思っていません。助けるなど以ての外。打開の策など考えてもいないでしょう!」
「い、今だけだよ!きっと、これから,,,,,,」
周りは静かになる。本当にそうなのか?という不安や俺が積極的ではないことに関しての落胆であったのだろう。だれも発言できない中、ポツリとつぶやく声がした。
「,,,,,,独立するというのは如何であろうか」
「,,,,,,ワシントン?」
その一声が火の中へ油を1樽放り投げたかのように皆の声が次々へと力を増していく。
「独立」「独立」「独立」「独立」「独立」「独立」
その場は明日、再度決め直そうという話で終わりを告げた。
最後に室内を出ようとしてドアを開けるとエミリーが立っていた。寝巻きであったので寝る直前であったのだろう。今気づく。エミリーはこんなにも髪の毛が伸びていたのかと。まるで髪を下ろしたアリスのようだ。
「あ、アルフレッド,,,,,,」
「エミリー,,,,,,」
一日の疲れがどっと湧いてエミリーの胸に思いっきり突っ込んでしまう。
「ちょ、ちょ!アル!ここで寝たらダメじゃん!えっと,,,,,,メイドさーん!」
「ごめん,,,,,,ちょっとだけ,,,,,,疲れたんだ」
「,,,,,,」
ポンポンと頭をなでられる。実は髪型もアリス、エミリー、メグ3人とも同じくツインテールである。これも植民地であるから。下を向いたのか、サラサラと髪が肩の下に落ちてくる。
「明日も、早いのよ。イギリスは今日帰っちゃったけど、フランスとスペインが来るんですって。久しぶりよね会うの。」
「,,,,,,うん。分かった,,,,,,楽しみだね、」
その日はそのまま眠りに落ちた。
起きるとベッドの上にいたためエミリーが結局運んでくれたのだろう。ふわぁと大きなあくびをしながらドアを開けるとフランシスとアントーニョに会う。
「わぁ!?」
思わず後ろにのけぞってしまう。それを見て2人はアハハハと高笑いをした。
「ハハッ俺らはゴーストじゃねぇぞ?」
「てか客おんのにそっちは寝起きかいな!」
「昨日は忙しかったんだ,,,,,,用意するから待ってておくれよ?」
「はいはい」
イギリスからの関税が高くなったことでこの2人には集まってもらった。今後の貿易の話し合いである。しっかりと着替え、会議室に移動しようとした時だ。
「アメリカはいるか!?」「会議中よ!静かになさい!」「いいから!通せ!」
そんな声が廊下から聞こえる。2人にすまないと手を上げドアを開けるとすぐ側の廊下で揉み合いが起きていた。走って近寄り、メイドに詰めかかっている男性を力づくで話すとその男性に肩をガッと掴まれた。
「早く来てくれ!!」
昨日も行った港に行く。明らかに周りがザワザワしていて、でも沿岸ギリギリに立つ男たちは冷静を取り払っている者もいれば、狂喜乱舞の男もいる。その中に、昨日のジャックもいた。だが、ジャックの目は生気を一瞬も感じさせないほど暗い。まず、周りに目をはるといつもよりイギリスからの輸入物が少ないことに気がつく。すぐに近くにいた男に何があったのか詰め寄って聞く。
「あぁなんだあんた知らなかったのか?さっきお祭り騒ぎだったってのに!もったいねぇな」
「いいから早く!聞かせてくれないか」
「イギリスからの茶葉を海に投げ捨てたんだよ。それも全部!!」
「,,,,,,は?」
「最初に始めたのは誰だったかな,,,,,,おい!お前誰だったか覚えてるか?」
「あぁ!それはジャックだよ!」
「,,,,,,,,,,,,,,,,,,え?」
すぐにジャックの元へ行って胸ぐらを掴む。周りはざわつきを強めるが、止めに来ようとはしない。
「ジャック!なんてことをしてくれたんだい!これでイギリスとの関係にこじれでも生じてしまったら,,,,,,!」
しかし、応答はない。ハッとして掴んでいた手の力を弱める。衣服にはシワが跡になり残っている。役人や軍人らも集まりだし、周囲は静かになる。軍人に状況説明をしようかと思えばジャックが頭を地面につけた。
「ジャック!」
「,,,,,,申し訳ございません,,,,,,もう、我々は限界でございます,,,,,,罰則は何であろうと,,,,,,神に誓って、受けましょう,,,,,,」
「,,,,,,とりあえず移動だ。」
アメリカ国内で1番大きな宮殿に全員を緊急招集させる。海へ茶葉を放り投げた全員も捕縛して座らせている。その中でも先頭に立っていたのはジャックだ。
「,,,,,,なぜ、こんなことを。」
「,,,,,,,,,,,,昨日、妻と、腹の子が死にました」
「,,,,,,え?彼女はまだ出産間近という訳ではなかっただろう。妊産婦死亡とか、彼女も元気ではなかったのか?」
「妻は、少ない食料を他の近所に住む子供達に分けておりました。自分だって子供を身ごもっているのに。,,,,,,そして、昨日陣痛が起きました。そうです。まだ早かったのです。対して元気であっても栄養が少なく、痩せこけた妻は体力も持っていません。そして子も栄養が行き渡っていなく,,,,,,子が息もせず死んでから数刻後、妻は死にました。」
「,,,,,,っ!」
「私にはもう守るべきものはございません。なにか課せられても,,,,,,全て受けるつもりです」
結局、全員には何も課さずに帰してしまった。場は一気に様変わりし、昨日の独立について話が運行していく。先に会議室へ行っててくれと申し、自分はフランシスとアントーニョの方へ行く。案の定、2人はその騒ぎを聞いていたらしい。
「レディが死ぬっていうのはいつになっても 堪えるな,,,,,,」
口を手で抑えて吐くような演技をしている。対してアントーニョは街が見える窓をずっと見ている。
「2人は,,,,,,どうするべきだと思う,,,,,,?俺がアーサーに戦いを申し込んだところで勝てると思うかい,,,,,,?」
2人は顔を見合せる。
「お前、まだあいつの植民地でいたいと思ってたのか?」
冷たいその声にカッとなり、手を思いっきり握りしめて叫ぶ。
「違う!俺は、あの人と対等な位置にいたかったんだ!いつまででも弟なんかじゃなくてね!,,,,,,でも、犠牲を考えて,,,,,,」
ムンムンと2人が考えているとアントーニョの方が口を開く。
「俺は、独立したほうがええと思う。植民地っちゅーのはいうたら支配やろ。そんなの下に見られとうに決まっとるやん。俺はちゃうけどな!」
「対等な位置にいたいっていうのがお前の本望なんだろ?じゃあどっちを選ぶか決まってるはずじゃねぇか?」
「でも俺は、アーサーがそんは考えを持って俺たちに接しているなんて考えられなくて」
「じゃあ、」
フランシスが部屋を探す。そして、俺の署名が書かれた紙を見つけ差し出してきた。
「お前は、自分の名に対して違和感を持ったことがないのか?」